Azadbakhtらは、腎症を伴う2型糖尿病患者における大豆蛋白摂取の効果に関する4年間の長期的ランダム化比較試験を実施し、大豆蛋白の長期的摂取が心疾患リスクと腎関連のバイオマーカーに有意な影響を与えたことをDiabetes Care4月号に発表した。
心臓血管疾患における大豆摂取効果に関する短期的研究結果は幾つか存在するが、腎症を伴う2型糖尿病における長期的大豆摂取の効果に関するエビデンスは少ない。心臓血管疾患リスクに対する長期的大豆摂取の効果を評価するため、Azadbakhtらは腎症を伴う2型糖尿病患者のC反応性蛋白(CRP)と腎臓バイオマーカーを測定した。
Azadbakhtらが実施した長期的ランダム化比較試験は、腎症を伴う2型糖尿病患者41名(男性18名、女性23名)を含めた。大豆蛋白群20名は、体重1kgに対し大豆蛋白0.8gの食事を4年間摂取した(動物性タンパク質35%、繊維大豆蛋白35%、植物性タンパク質30%)。対照群21名は、動物性タンパク質70%、植物性タンパク質30%の食事を4年間摂取した。これらの患者は大豆群と同様の投薬治療を受けており、大豆蛋白の欠如が唯一の差異であった。4年間の研究期間にわたり、栄養士との定期的な接触や医師を通じて、食事に対するアドヒアランスが奨励された。全般的にアドヒアランスは良好と見なされた。
大豆蛋白群は、空腹時血漿グルコース値、総コレステロール値、LDLコレステロール値、および血清トリグリセリド値が対照群と比較して有意に低い
・空腹時血漿グルコース値(大豆蛋白群と対照群の平均差:-18 +/- 3 vs. 11 +/- 2 mg/dl; P = 0.03)
・総コレステロール値(-23 +/- 5 vs. 10 +/- 3 mg/dl; P = 0.01)
・LDLコレステロール値(-20 +/- 5 vs. 6 +/- 2 mg/dl; P = 0.01)
・血清トリグリセリド値((-24 +/- 6 vs. -5 +/- 2 mg/dl; P = 0.01)
大豆蛋白群の血清CRP値、タンパク尿値、および尿中クレアチニン値が有意に低下
・血清CRP値 (1.31 +/- 0.6 vs. 0.33 +/- 0.1 mg/l; P = 0.02)
・タンパク尿値(-0.15 +/- 0.03 vs. 0.02 +/- 0.01 g/day; P = 0.001)
・尿中クレアチニン値(-1.5 +/- 0.9 vs. 0.6 +/- 0.3 mg/dl, P = 0.01)
腎症を伴う2型糖尿病患者における大豆蛋白摂取による心腎臓バイオマーカー、およびC反応性蛋白(C-reactive protein)への影響:長期的ランダム化比較試験
Azadbakht L, Atabak S, Esmaillzadeh A.
Diabetes Care. 2008 Apr;31(4):648-54. Epub 2008 Jan 9.
英語文献
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18184902?ordinalpos=1&itool=EntrezSystem2.PEntrez.Pubmed.Pubmed_ResultsPanel.Pubmed_RVDocSum