ナイアシンはビタミンB3の一つで、ナイアシン(ニコチン酸)とそのアミドであるニコチンアミドで構成される。酵母、肉、魚、ミルク、卵、青野菜および穀物など多くの食物に含まれる。
Kashyap らは、ナイアシンの細胞内標的を発見したとJournal of Lipid Research 誌6月号にて発表した。これにより、ナイアシンがどのようにして適切な HDL コレステロール値を維持し、ひいては心臓病のリスクを下げるメカニズムをより明確にすることができた。
ナイアシンが血漿HDL値を増加させるメカニズムについては、はっきりと分かっていなかったが、ナイアシンが、実際にHDL コレステロールの生産を増加させるのではないと考えられていた。
最近の研究で、ATP 合成酵素の構成成分で、ベータ鎖として知られるサブユニットが肝臓の細胞の表面に存在し、それがHDLを取り込むことが分かり、ナイアシンの効果の基礎であることを発見した。
Kashyap らが肝臓細胞にナイアシンを加えると、細胞表面のベータ鎖が 27 パーセント減少し、HDL コレステロールの取り込みが 35 パーセント減少した。
これらの結果は、ナイアシンは、肝臓が血液から HDL を取り込むのを妨げることにより、高い血漿HDLコレステロール値を維持することを示している。
またナイアシンは、「コレステロール逆転送系」という、もう一つの主要経路に影響しない。その結果、HDL コレステロール値は維持するが、その他のコレステロールを血液中から取り除かせることを可能にしている。
Niacin inhibits surface expression of ATP synthase β chain in HepG2 cells: implications for raising HDL
Lin-Hua Zhang, Vaijinath S. Kamanna, Michael C. Zhang, and Moti L. Kashyap
Journal of Lipid Research, Vol. 49, 1195-1201, June 2008