2008年8月15日 18:29

化学療法薬剤の大部分は、その有毒性を急速に増える口腔粘膜の基底細胞などに与える。つまり、化学療法は細胞の新生を減少し、免疫機能を低下させる。このような効果は、口腔粘膜における様々な炎症性変化を進行し、化学療法の予定を妨げる可能性がある。

 

この前向き研究の目的は、Weleda Ratanhia-Mundwasser®(ハーブ製うがい薬)Weleda Pflanzen-Zahngel®(歯磨き粉)(両商品ともスイスWeleda製)を常用することによって、化学療法による口腔粘膜炎の出現と重篤性に対する有効性を実証することである。この研究で使用された商品の有効成分は、抗菌効果と抗収縮性があるとされるratanhia(Ratanhia peruviana)のエキスとミルラ(樹脂)(Commiphora myrrha)である。この研究は、ドイツ・マインツ市のヨハネス・グーテンベルク大学Clinic of Female Healthにて行われ、Evid Based Complement Alternat Medにて発表された。

 

参加者は、乳癌の手術後補助的化学療法が計画された。患者は、治療群もしくは対照群のどちらに割り当てられるか決めることが出来た。DMF-TDisease=病気、Missing=欠けている、Filled-Teeth=詰め物をした歯)指数、歯垢指数、歯肉炎指数のベースラインを設定するために歯の健診を行った。また、口腔組織の損傷ベースラインを設定するために視覚評価を行った。研究期間中、全て患者は同じ歯のケア商品を支給された。化学療法が開始してから、歯の健診が毎週行われた。

 

49名全ての患者が治療群への参加を希望したため対照群はなかった。体調などのため、5回の健診全てに参加したのは、49名中32名だけであった。そのため、この研究の評価にはこの32名のみが含まれた。

 

観察期間中、悪性度3の口腔粘膜炎を発現した患者はいなかった。患者の133%が7日目から28日目の間に症状の総合的改善がみられたと報告し、877%が変化はないと報告した。研究の終了時には、70%以上の患者に症状はみられなかった。ベースラインに比べ、研究修了後の歯垢指数と歯肉炎指数が減少していた。しかし、全患者の156%で口腔粘膜炎の悪性度が1増えた。

 

うがい薬の全体な評価は、患者の36.7%が「良い」、56.7%が「並」とであった。

 

商品の忍容性は良好であった。7日目の最も一般的な副作用は、口渇(64.5%)、味覚障害(38.7%)、口腔が焼けるような感じ(22.6%)、舌が焼けるような感じ(19.7%)であった。研究終了時にこれらの副作用は著しく改善された。しかし、歯肉出血と口腔の赤みがわずかに増えた。

 

全体的な結論

Weleda Ratanhia-Mundwasser®(ハーブ製うがい薬)Weleda Pflanzen-Zahngel®を使用すると化学療法の口内副作用に有効である可能性がある。この研究は、盲検化されておらず、また対照群がなかったためひどくバイアスされている。研究中にみられた有効性は、うがい薬を13回使用(通常のケアでは行わない)したことによる可能性がある。また、口内副作用の重篤度と出現は、化学療法計画や抗癌剤の種類、患者のベースラインによって左右される。この研究は、化学療法の口内副作用に対して丁寧な口内ケアが有効である可能性を示唆している。

 

Evid Based Complement Alternat Med. 2007;4(3):361-366.