2009年12月18日 12:20

オメガ3不飽和脂肪酸の摂取とアトピー性疾患のリスク:系統的レビュー

 

多価不飽和脂肪酸には、オメガ3不飽和脂肪酸オメガ6不飽和脂肪酸がある。オメガ6不飽和脂肪酸摂取とアレルギー疾患には因果関係があることが示唆されており、その根拠となり得るオメガ6不飽和脂肪酸・アラキドン酸のエイコサン酸メディエーターを含む生物学的に可能なメカニズムがある。魚や魚油はオメガ3不飽和脂肪酸のもとであり、この脂肪酸にはオメガ6不飽和脂肪酸の作用を拮抗する作用がある。つまり、オメガ3不飽和脂肪酸は、アトピー感作やアトピーの臨床症状に効くと見られている。

 

これに関するエビデンスは、妊娠中、授乳中、幼児期、小児期における魚の摂取と、幼児・小児のアトピー転帰の関連性を評価する疫学研究、および妊娠中、授乳中、幼児期、小児期における魚油サプリメント摂取と、幼児・小児のアトピー転帰の関連性を評価する介入研究によって評価された。妊娠中の魚摂取と幼児・小児におけるアトピー・アレルギー転帰に関する5件の疫学研究では、全ての研究で防御関連性がみられた。

授乳中の魚摂取を評価した1件の研究では、有意差のある関連性はみられなかった。

幼児期、小児期における魚の摂取と、幼児・小児のアトピー転帰の関連性を評価する疫学研究の結果には一貫性がないが、大部分の研究(14件中9件)において、幼児期、小児期における魚摂取とアトピー転帰の防御関連性がみられた。

妊娠中、授乳中、もしくは幼児期、小児期における魚油サプリメント摂取は、幼児・小児のオメガ系不飽和脂肪酸の状態をより高くする。

妊娠中の魚油摂取は、臍帯血における免疫学的変化との関連があり、その変化は持続する可能性がある。今まで行われてきた研究では、妊娠中の魚油サプリメント摂取はアレルギーを誘発する一般食品に対する感作を減少し、生まれてから1年間アトピー性皮膚炎の有病率と重症度を減少させ、あるいは思春期まで、アトピー性皮膚炎、花粉症、喘息を減少させる可能性がある。

 

幼児、および小児の魚油サプリメント摂取により血液が疫学的に変化する可能性があるが、臨床的有意性と効果の持続性は不明である。幼児期の魚油サプリメント摂取は、アレルギー疾患の発現リスクを減少させる可能性があるが、他の要因も係わってくるためその有益性は持続しない可能性がある。

2件ある研究結果は相違しているため、喘息を持つ子供の治療に対して魚油を使用することができるかは不明である。

幼児・小児に対する疫学的および臨床的効果、および防御・治療効果とその持続性を特定するためには妊娠中、授乳中、幼児期におけるオメガ3不飽和脂肪酸の摂取に関するさらなる研究が必要である。

 

Clin Rev Allergy Immunol. 2009 Dec 9.

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19997989?itool=EntrezSystem2.PEntrez.Pubmed.Pubmed_ResultsPanel.Pubmed_RVDocSum&ordinalpos=1