ビタミンDサプリメントおよび活性型ビタミンDによる転倒リスク低下:ランダム化比較対照試験のメタ分析。
目的:カルシウム摂取に係わらず、ビタミンDサプリメントおよび活性型ビタミンD摂取による高齢者における転倒リスク低下の有効性の評価。
データ:2008年8月までの下記の文献を検索した。
・Medline
・Cochrane central register of controlled trials
・BIOSIS
・Embase
分析方法:ビタミンD(cholecalciferol)、vitamin D2(ergocalcifero)、もしくは活性型ビタミンD(1α-hydroxyvitamin、D3(1α-hydroxycalciferol)、1,25-dihydroxyvitamin、D3(1,25-dihydroxycholecalciferol)を経口投与された高齢者(平均65歳以上)及びそれらの転倒評価が含まれたランダム化二重盲検比較対照試験のみ分析した。
結果:ビタミンDサプリメントに関しては、8件のランダム化二重盲検比較対照試験(n=2426)が含まれた。
高用量ビタミンD(700-1000IU/日)は、転倒リスクを19%減少し(プール化相対リスク (RR) 0.81, 95% CI 0.71 ~ 0.92; n=1921 :7トライアル)、血中25ヒドロキシビタミンDが60 nmol/l 以上到達した場合、転倒は23%減少した(プール化 RR 0.77, 95% CI 0.65 ~ 0.90)。
低濃度サプリメントビタミンD投与(700IU以下)では転倒リスクは有意に減少しなかった
(プール化RR 1.10, 95% CI 0.89 ~ 1.35; n=505:2試験)。血中 25-OH-Vit.Dが60nmol/l未満の場合も転倒リスクは有意に減少しなかった(プール化RR 1.35, 95% CI 0.98 ~ 1.84)。
活性型ビタミンDに関しては、メタ分析に含まれた2件のランダム化比較対照試験(n=624)において転倒リスクが22%減少した(プール化 RR 0.78, 95% CI 0.64 ~ 0.94)。
結論:700IUから1000IUのビタミンDサプリメントは高齢者の転倒リスクを19%減少し、活性型ビタミンDにおいても同様の結果がみられた。700IU以下のビタミンDサプリメント、および血中 25-OH-Vit.Dが60nmol/l未満の場合、転倒リスクが減少しない可能性がある。
BMJ. 2009 Oct 1;339:b3692. doi: 10.1136/bmj.b3692.