2010年2月 2日 16:49

ヨーロッパ人における、診断前の循環血中ビタミンD濃度と直腸結腸ガンリスクの関連:ネスト化症例対象研究

 

目的:ヨーロッパ人の直腸結腸ガンリスクにおける、診断前の循環血中ビタミンD濃度、およびビタミンDとカルシウムの食事摂取の関連性の調査。

 

デザイン:ネスト化症例対象研究

 

環境:ヨーロッパの10カ国、520000名以上のコホート研究。

 

参加者:コホート研究へ参加後、結腸ガンが発症した1248症例を対象者1248名と比較した。

 

主要結果判定法:循環血中ビタミンD濃度(25-hydryoxy-vitamin-D, 25-(OH)D)は酵素免疫測定法で測定された。食事習慣と生活習慣に関する情報はアンケートにより集積された。発生率、および25-(OH)D濃度と食事カルシウムとビタミンD摂取による結腸ガンリスクの95%信頼区間は多変量条件付きロジスティック回帰モデル(潜在的食事交絡因子およびその他交絡因子に対して調整)にて推定された。

 

結果:25-(OH)D濃度は、結腸ガンリスクにおいて強い用量-反応の反線形連想を示した(傾向P0.001)。中間レベルの25-(OH)D濃度(50.0-75.0 nmol/l)と比較すると、低レベルの25-(OH)D濃度は結腸ガンリスクの増加に関連し(<25.0 nmol/l: 発症率比 1.32 (95% 信頼区間 0.87 to 2.01); 25.0-49.9 nmol/l: 1.28 (1.05 to 1.56)、高レベルの25-(OH)D濃度は結腸ガンリスクの低下に関連した(75.0-99.9 nmol/l: 0.88 (0.68 to 1.13); 100.0 nmol/l: 0.77 (0.56 to 1.06)25-(OH)D濃度の五分位分析によると、一番高い五分位階級の患者は、一番低い五分位階級の患者に比べ結腸ガンリスクが40%低かった(P0.001)。サブグループの分析は結腸ガンとの強い関連性を示したが、直腸癌との関連性は低かった(不均質P0.048)。カルシウムの食事摂取増加は、結腸癌リスクの低下と関連性がみられた。食事ビタミンD摂取は疾患リスクに関連性はなかった。結果は、両性別において同等で、季節、月、献血に対する修正によって変化はなかった。

 

結論:この結果は、ヨーロッパ人において、結腸癌リスクと診断前の25-(OH)D濃度の強い逆相関を示している。循環血中ビタミンD濃度の増加が結腸癌リスクを有意に減少するかを検証するためには、さらにランダム化試験が必要である。

 

 

BMJ 2010;340:b5500

http://www.bmj.com/cgi/content/abstract/340/jan21_3/b5500