クルクミンは、炎症性腸疾患患者(小児および成人)の腸管において、p38 MAPK(mitogen-activated protein kinase)を抑制し、IL-1B、MMP-3(マトリックスメタロプロテアーゼ3)、IL-10を減少させる。
炎症性腸疾患(IBD)は、小児および成人の死亡率の大きな原因となっている。その出現は、特に若い人において増加している。
IBDにより癌リスクを生涯持つことになり、それは羅患期間に比例している。医薬品や手術により治癒する事は少なく、副作用による負担が生じる。クローン病において、食事療法は非常に効果的である。これらの理由から、IBDにおける新しい食事療法の開発が期待される。
ウコンの成分であるクルクミンは抗炎症・抗ガン物質であり、IBDに対して臨床前および臨床における有効性の可能性を示している。
クルクミンの作用メカニズムは不明である。
今回の目的は、IBD患者(小児および成人)の腸管における、疾患のメディエーターであるp38 MAPK、IL-1B、IL-10、およびMMP-3(マトリックスメタロプロテアーゼ3)に対するクルクミンの影響を評価することであった。
活性IBD患者(小児および成人)の結腸粘膜生検組織と結腸筋線維芽細胞(CMF)がクルクミンと共に生体外培養された。
p38 MAPK、NF-kappaB、およびMMP-3は免疫ブロット法により測定された。IL-1BとIL-10はELISAにより測定された。
結果、クルクミン下の粘膜生体においてP38MAPKの活性が減少し、IL-1Bが促進し、IL-10が減少した。クルクミンによるCMFのMMP-3の用量依存的抑制を示した。
自然界の食事成分であるクルクミンに有毒性は知られておらず、IBDの新治療として期待される。
Br J Nutr. 2010 Mar;103(6):824-32. Epub 2009 Nov 2.