2010年5月18日 14:42

毎年1回の高濃度経口ビタミンD摂取と高齢女性における転倒と骨折:ランダム化比較対照試験

 

背景:ビタミンDレベルの改善は、転倒と骨折を減少する重要な可変要素である可能性がある。しかし、一般の一日摂取量は低い。

 

目的:高齢女性において年に1回、秋か冬に、コレカルシフェロール500,000 IUを経口摂取することで、転倒と骨折が減少するかを検討すること。

 

デザイン:骨折のリスクが高いと思われる、地域在住の70歳以上の女性2256名が、20036月から20056月まで募集され、二重盲検プラセボ比較対照試験に含まれた。参加者は、秋もしくは冬に3年から5年の間、コレカルシフェロールもしくはプラセボを摂取した。本試験は2008年に終了した。

 

主要結果判定法:月間カレンダーを用い、転倒と骨折が確認された。詳細については電話によるインタビューが行われた。副研究では、ランダムに選ばれた137名の患者対して、25-ヒドロキシコレカルシフェロールとパラトルモン値のため逐次血液検査を行った。

 

結果:コレカルシフェロール(ビタミンD)群の女性において骨折が171件あったのに対して、プラセボ群では135件あった。ビタミンD群では、837名の女性が2892回転倒(83.4回/100人年)したのに対し、プラセボ群では769名の女性が2512回転倒した(72.7回/100人年;発生率1.1595%信頼区間、1.02-1.30;P=.03)。プラセボ群に対する、ビタミンD群における骨折の発生率は、1.26(95% CI, 1.00-1.59; P=.047)であった(ビタミンD4.9回/100人年vitamin Dプラセボ群3.9回/100人年)。転倒後の分析では一時的な傾向がみられた。プラセボ群に対する、ビタミンD群における転倒の発生率は、ビタミンD摂取後最初の3ヶ月間で1.31であり、残りの9ヶ月で1.13であった(均質試験;P.02)。

副研究では、血清25-ヒドロキシコレカルシフェロールの平均ベースライン値は49nmol/Lであった。副研究の参加者の3%以下において25-ヒドロキシコレカルシフェロール値が25nmol/L以下であった。ビタミンD群では、25-ヒドロキシコレカルシフェロール値がビタミンD摂取後1ヶ月後には120nmol/Lに増加し、3ヶ月後には90nmol/Lになり、プラセボ群に比べ12ヶ月間高い値であった。

 

結論:高齢女性において、毎年1回の高濃度コレカルシフェロール摂取は、転倒と骨折のリスクを増加した。

 

(参考)日本のビタミンDの食事摂取基準220 IU。耐容上限量2000 IU

専門家の間では、10,000 IUまで安全とされている。

 

*スイスの研究者らによるメタ解析。研究者らは、65歳以上の高齢者にビタミンDを投与し、転倒との関係を調べた結果、ビタミンD7001000 IU/日以上服用している高齢者では、転倒のリスクが19%少ないことがわかった。BMJ 2009;339:b3692

 

http://jama.ama-assn.org/cgi/content/full/303/18/1815

JAMA. 2010;303(18):1815-1822.