2010年9月10日 15:22

エキナセアがHIVプロテアーゼ阻害薬ロピナビル/リトナビルに及ぼす影響:健常者13例におけるオ-プン試験

目的:エキナセアのロピナビル/リトナビルに対する薬物動態的影響と、ミダゾラムとフェキソフェナジンを用いて、P450 3AP糖タンパク質の活性を調べること

研究デザイン;オープンラベル試験

対象:13人の健常人(男性8人、女性5人)

方法:ロピナビル400mg/リトナビル100mg1229.5日間投与。16日目に,エキナセア500mg1328日間投与された。つまり、14日間は、リロピナビル/リトナビルはエキナセアと併用、その後14日間はエキナセア単独投与された。

CYP3AとP糖たんぱく活性を調べるのに、ミダゾラム8mgとフェキソフェナジン120mgがそれぞれ単回投与で,エキナセア28日間の投与前後に与えられた。

結果:エキナセアはCYP3A活性を亢進するが,ロピナビルに変化を生じさせなかった。それはリトナビルによる強力なCYP3A阻害によるためである。エキナセアは、リトナビル増加のプロターゼ阻害物質の薬物動態には変化がないが、他のCYP3A気質の血中濃度はわずかに減らすかもしれない。

Pharmacotherapy. 2010 Aug;30(8):797-805.

 

(参考文献)

エキナセアがチトクロームP450活性に及ぼす影響:健常者12例におけるオ-プン試験

エキナセアはOTCハーブ薬として広く市販されている。in vivoにおけるCYP活性に及ぼすエキナセアの影響を調べるため,健常者12例を対象に,オープンラベル試験を行った。エキナセア短期経口投与(400mg148日間)の前後に,カフェイン(CYP1A2),トルブタミド(CYP2C9)
デキストロメトルファン(CYP2D6)の経口投与,およびミダゾラム(肝臓および腸管のCYP3Aのプローブ薬)の経口および静脈内投与を行い(ウオッシュアウト期間1週間),CPY活性を測定した。その結果,エキナセア投与により,ミダゾラムの全身クリアランスが有意に増加(34%)AUCが有意に低下(23%),経口アベイラビリティが有意に増加したが,経口クリアランスは有意な変化がみられなかった。エキナセア投与により,カフェインの経口クリアランスが有意に低下した。トルブタミドの経口クリアランスも11%低下したが,この変化は臨床的に重大なものとは考えられなかった。デキストロメトルファンの経口クリアランスはエキナセア投与によって影響を受けなかった。以上,エキナセアは,CYP1A2基質の経口クリアランスを低下させるが,CYP2C9およびCYP2D6の基質の経口クリアランスには影響を及ぼさなかった。エキナセアは肝臓および腸管でのCYP3Aの触媒作用を選択的に調節する。排泄がCYP3AまたはCYP1A2依存性薬剤とエキナセアを同時使用する場合には注意が必要である。
Clin. Pharmacol. Ther.75
189100/(2004.1