2010年11月11日 16:17
ビタミンB群は脳卒中後のうつ病リスクを軽減する(The VITATOPS-DEP trial)
概要:食事やサプリメントからのビタミンB群の摂取は,血中ホモシステイン値を低下させ,うつ病の標準治療に対する反応性も改善することが示唆されています。生活習慣病を抑制する働きがあります。今まで、脳卒中後の人にビタミンB群がうつ病予防に効果があるのかどうかは定かではありませんでした。
方法:脳卒中の既往者を対象としたランダム化二重盲検偽薬対照試験として,血中ホモシステイン値の低下を目標とし、葉酸;2mg,B6;25mg,B12;0.5mgが1年から10.5年間、投与されました。
主要アウトカムは,DSM-IVによる重症うつ病の発症、セカンドアウトカムは重症・軽症うつ病の罹患率として測定されました。その他、年齢、性別、卒中による後遺症、卒中の再発、認識機能障害、抗うつ剤の使用が調べられました。
結果:273名が7.1±2.1年間フォローされ、ビタミンB投与群では,プラセボ群に比べて,重症うつ病リスクが有意に低下していました(18.4% vs 23.3%, adjusted HR = 0.48; 95% CI = 0.31-0.76)。
そして、重症・軽症のうつ病リスクも,プラセボ群に比べて,ビタミンB群は有意に低下しました(19.1% vs 27.7%; adjusted OR = 0.58; 95%CI = 0.31-1.09)。
解説:脳卒中後の重症うつ病に対して,葉酸・B6・B12のビタミンB群の長期投与は安全であり、予防効果・リスク低減効果が示唆されます。
Ann Neurol. 2010 Oct;68(4):503-10.