2013年4月10日 12:07

高齢者におけるオメガ3系脂肪酸の血中濃度死因別および総死亡率:コホート研究

 

EPA(エイコサペンタエン酸)DPA(ドコサペンタエン酸)DHA(ドコサヘキサエン酸)を含むオメガ3系脂肪酸は、心血管系リスクを軽減することが示されているが、死因別および総死亡率および用量反応においての影響はわかっていない。

ほとんどの観察研究は、自己申告の食事摂取量を評価しており、ほとんどのランダム化試験は、このようにω3-PUFAまたは一次予防のための食餌療法の推論を制限し食事摂取量評価二次予防サプリメントを追加した場合の効果を研究している。

 

目的

サプリメントを摂取していない健康な高齢者で、EPADP ADHAω3-PUFAレベル、死因別および総死亡率と関連があるかを調査すること。

 

対象

試験開始時に基礎疾患冠状動脈疾患や脳卒中、心不全などを有していない74(±5)米国成人2692

 

方法

1992年の時点で、血中脂質と心血管リスクファクターが調べられ、2008年までの心臓病や脳卒中が追跡された

 

結果

30829リスク人年の追跡期間中、1625 例の死亡(570例の心血管死)359 例の致死的・371例の非致死的心臓病、130例の致死的・276例の非致死的脳卒中が認められた。
交絡因子で補正後、5分位において、オメガ3系脂肪酸値が高いほど、これらの疾患リスクが低いという相関が見出されています。EPAでは17%のリスク低下(95% CI, 0.71 to 0.98; P for trend = 0.005)DPAでは23%のリスク低下(CI, 0.66 to 0.90; P for trend = 0.008)DHAでは20%のリスク低下(CI, 0.67 to 0.94; P for trend = 0.006)、総オメガ3系脂肪酸値では27%のリスク低下(CI, 0.61 to 0.86; P for trend < 0.001)が示された。
これらのリスク低下は、特に心血管疾患の死亡抑制による寄与が大きかった。オメガ3系脂肪酸値が5分位で最高群は、最低群に比べて、65歳以上の年代で、平均余命が2.22歳延長した。

 

*リスク人年:コホート研究のようにある期間観察した結果より曝露の影響を調べる場合、その事象(例えば死亡、発症など)が起こった人数とともに観察された期間が重要な意味を持ってきます。もし観察期間を長くするならば、その事象が起こる人数が増加する可能性があるからです。そこで、観察した人数とその観察期間をかけたものを基本としてその影響を考えていきます。この観察した人数とその観察期間をかけたものを観察人時 person-time といいます。多くの場合、期間は年単位で観察されますので、観察人年 person-year を用います。例えば、5年間の観察期間に20人観察したとすると、観察人年は100人年となります。

 

結論

オメガ3系脂肪酸の摂取が多いと、心血管リスクの低下などの死亡率の低下が示唆された。

 

Ann Intern Med. 2 April 2013;158(7):515-525

http://annals.org/article.aspx?articleid=1671714