2014年10月15日 21:14

 大豆蛋白が、少なくともすでに乳がんに罹患している一部の女性において、乳がん増殖に関連する遺伝子の活動を亢進させる可能性があることが、新たな研究で示唆され、「National Cancer Institute」に9月4日掲載された。乳がんでない女性については、大豆の影響は明らかにされていないと、米メモリアル・スローン・ケタリングがんセンター(ニューヨーク市)のJacqueline Bromberg氏は述べている。

大豆と乳がんの関係は複雑で、日本のように大豆が食事の中心となっている国では、大豆を多く摂る女性ほど乳がんリスクが低い傾向がみられる。一方で、大豆には植物エストロゲン(弱いエストロゲン様の特性を有する植物成分)が含まれており、実験室での研究では、このような大豆成分が乳腺腫瘍の増殖を促進する可能性が認められている。

今回の研究では、新たに早期乳がんと診断された女性140人を無作為に2群に分け、一方の群は大豆蛋白サプリメント(1日あたり豆乳約4杯分に相当)を1~4週間毎日摂取し、もう一方の群はミルクパウダーを摂取するよう指示した。女性は閉経前または閉経直後のいずれかであった。その結果、短期間でも大豆サプリメントを使用した女性の約20%に、植物エストロゲンであるゲニステインの血中濃度の上昇がみられた。そのうち一部の女性には、乳腺腫瘍の増殖と拡大を促す遺伝子の活動亢進が認められた。

しかし、それが必ずしも腫瘍増殖の加速を意味するわけではないと、Bromberg氏は強調している。遺伝子の活動亢進がみられた女性に「腫瘍増殖」の徴候はなかったが、研究期間が短いために検知できなかった可能性もある。念のため、乳がんの女性は大豆サプリメントの使用を避け、豆腐やテンペなどの大豆食品は適量にとどめる方がよいという。

米ジョージタウン大学ロンバルディ統合がんセンター(ワシントンD.C.)のCraig Jordan氏は付随論説のなかで、エストロゲンはいつ投与するかによって、乳がん細胞を増殖させることもあれば死滅させることもあるようだと述べている。閉経期や閉経直後は、エストロゲンが(おそらく大豆植物エストロゲンも)がんの増殖を促す可能性があるが、その時期を過ぎてから使用すれば大豆は有益だと考えられると同氏は述べている。

The American Cancer Society has more on soy and cancer risk.

SOURCES: Jacqueline Bromberg, M.D., Ph.D., physician/scientist, Memorial Sloan Kettering Cancer Center, New York City; V. Craig Jordan, Ph.D., D.Sc., scientific director, Lombardi Comprehensive Cancer Center, Georgetown University, Washington, D.C.; Sept. 4, 2014 Journal of the National Cancer Institute