2014年10月15日 21:17

 人工甘味料には血糖値を押し上げ、肥満や2型糖尿病を助長する可能性があることが、イスラエル・ワイツマン科学研究所のEran Segal氏らの研究から示された。

「Nature」9月17日号に掲載された報告によると、検討ではまず、人工甘味料を与えたマウスの血糖値は、淡水または糖水を与えたマウスより上昇することを確認した。これらのマウスを抗生物質で治療すると、血糖値が正常に戻ることも分かった。

さらに、人工甘味料を摂取したことのない健康なマウスにサッカリンを与えたマウスの腸内細菌を移植すると、血糖値の上昇が誘発されることも分かった。

次に、400例弱のヒト集団において検討したところ、人工甘味料を長期間使用している人では空腹時血糖の上昇がみられる率が高く、耐糖能異常の徴候がみられる率も高いことが分かった。

追跡実験として、普段人工甘味料を使用していない7例に米国食品医薬品局(FDA)が推奨する1日最大量のサッカリンを連続6日間摂取させたところ、4例で血糖値の上昇が認められた。

Segal氏はこの結果について、「人工甘味料がこれほど多量に使用され、一般に安全とみなされている現状を鑑みれば、この結果は驚くべきものだった」と述べている。

本検討ではおもにサッカリンに焦点を当てたが、マウス実験ではスクラロースやアスパルテームについても検討しており、いずれも血糖値に対して同じ作用があることを認めている。

本検討ではまた、一部の人では人工甘味料による血糖上昇が特に生じやすい可能性も示された。研究著者の1人で同研究所のEran Elinav氏はこの知見について、血糖値の高い人では腸内の特定の細菌が化学的甘味料に反応し、糖の過量摂取に対する反応に似た炎症反応を誘発して、身体が糖を利用する能力を変化させているのではないかと説明している。

米国糖尿病協会(ADA)のJudy Wylie-Rosette氏は、「この結果は、人工甘味料が万能ではないというADAの立場を支持するものだ」とコメント。

十分に考慮して利用するのでない限り、人工甘味料にさほどの便益はないとして、「砂糖入り飲料を飲むよりは人工甘味料入りの飲料の方が明らかに良いが、のどの渇きを癒す最良の選択肢はやはり水だ」と付言している。

For more information on artificial sweeteners, visit the Harvard School of Public Health.

SOURCES: Eran Segal, Ph.D., professor of computer science and applied mathematics, Weizmann Institute of Science, Rehovot, Israel; Eran Elinav, M.D., immunology department, Weizmann Institute of Science, Rehovot, Israel; Judy Wylie-Rosette, Ed.D., spokesperson, American Diabetes Association, and professor of epidemiology, Albert Einstein College of Medicine, New York City; Sept. 17, 2014, Nature