ホモシステインは、非タンパク性アミノ酸で、その代謝には、ビタミンB群が酵素補助因子として補助的に関与しています。血中ホモシステイン値が高い状態では、血栓、心臓発作、脳卒中、内皮細胞損傷、炎症との関連が見られています。最近行われたメタ分析(以前の複数の研究を調べたもの)に、ビタミンB群の補給によるホモシステイン値の低下効果、および脳卒中のリスク低下について調べたものがあります。ここで使用された臨床試験結果は2012年より前に公表されたもので、14の無作為化対照試験が含まれ、被験者総数は54,913人でした。(Ji
Y, et al., Vitamin B supplementation, homocysteine levels, and the risk of
cerebrovascular disease: a meta-analysis. Neurology. 2013 Oct
8;81(15):1298-307.)
全体的に見て、脳卒中の相対リスクが7%低くなっており、これは、統計的に有意な数字です。しかし、この効果には数々の可変要因、たとえば、個々人の吸収率、当該栄養素の結果的な血中濃度、各患者における高血圧や腎疾患の有無などが影響していました。ホモシステイン値を下げるための治療では、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸が与えられるのが一般的です。以前の研究では、葉酸だけでホモシステイン値が25%下がる可能性があることがわかっています。Journal
of the American Medical
Association(米国医師会雑誌)に掲載されたレビューによると、葉酸にビタミンB12のサプリメントを加えた場合、さらに7%の低下が見られたということです。
ホモシステイン値の低下と、脳卒中あるいは心臓発作との関連が見られなかった研究も一部ありましたが、その原因は上記の可変要因による可能性があります。もっと大規模な対照試験を用いれば、ホモシステインと血管疾患との関係を明らかにできるかもしれません。とはいえ、こうしたビタミンサプリメントは安価な上に極めて安全性が高いので、さらに進んだ研究が発表されるまで、リスクがある人はビタミンB群のサプリメントを摂るのがおそらく良策でしょう。
実践的ガイドライン
ビタミンB群の通常用量として、葉酸は1,000~5,000
μg(1~5 mg)、ビタミンB12はメチルコバラミンの舌下錠という形で1,000~5,000
μg(これ以外にどのような形態のコバラミンでも役立つかもしれません)、ビタミンB6(ピリドキシン)は50~100
mgです。ホモシステイン値を下げるために、もっと高価な補酵素形態のビタミン剤(ピリドキサル-5-リン酸など)を摂る必要はありません。