「抗凝血薬に加えてNSAIDを使用すると出血リスクが2倍となる」と、研究を率いたデンマーク心臓財団(コペンハーゲン)のGunnar Gislason氏は述べている。同氏によると、心房細動患者の多くは脳卒中リスク低減のため抗凝血薬を使用しているという。
心房細動になると、心房が高速で不規則に収縮する。この異常な収縮によって心臓に血液が貯留して血栓が生じ、それが脳に運ばれると脳卒中の原因となることがある。
本研究では、NSAIDの服用開始から2週間以内に出血および凝血のリスクが上昇するようだということが判明した。NSAIDの使用は通常短期間であるため、この知見は重要だとGislason氏はいう。平均6年の追跡で、NSAIDを服用していない人では出血性イベントの発生率が1,000人あたり1.5人であるのに対し、NSAIDを2週間服用すると1,000人当たり3.5人となることがわかった。
出血および凝血のリスクはどのNSAIDでも同程度であった。また、推奨される最低限の用量を超えてNSAIDを服用すると、出血リスクが大幅に上昇することも判明した。Gislason氏は、患者がNSAIDを服用する必要があるかどうか、安全な代替薬がないかを医師と相談する必要があると述べている。
米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)教授のGregg Fonarow氏は、抗凝血薬を使用しているかどうかにかかわらず、出血リスクの増大は1,000人あたり2~3人であることを考えれば、絶対的なリスクはさほど大きなものではないと指摘する。「現行のガイドラインに従い、抗凝血薬を使用する患者や心疾患のある患者には、その便益がリスクを上回る場合に限り慎重にNSAIDを使用する必要がある。可能であればアセトアミノフェンなどの安全な代替薬の使用を検討するほうがよい」と、Fonarow氏は助言している。
この報告は「Annals of Internal Medicine」11月18日号に掲載された。なお、今回の研究では心房細動患者のNSAID使用と出血および凝血との関連が認められたが、NSAIDが出血や凝血のリスク増大の原因だと明らかになったわけではない。
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SOURCES: Gunnar Gislason, M.D., Ph.D., Danish Heart Foundation, Copenhagen, Denmark; Gregg Fonarow, M.D., professor, cardiology, University of California, Los Angeles; Nov. 18, 2014, Annals of Internal Medicine