2015年1月13日 21:47
   

さまざまな食品や飲料に含まれる糖の一種である果糖が、過食を促進する可能性があることが新たな研究で示唆された。果糖は、炭酸飲料やクッキーなどの加工食品に添加される「異性化糖」コーンシロップなどとして知られる。ブドウ糖とは異なる構造をもつ単糖であり、天然の果物にも含まれている。

研究著者の1人である米南カリフォルニア大学(USC)助教授のKathleen Page氏は、「果糖はブドウ糖に比べて、食欲を制御する脳領域を抑制する作用が弱いことがわかっている」と話す。

言い換えれば、ブドウ糖に比べて果糖の多い食事の後は、空腹感が残る可能性が高いということだ。果糖はインスリンなどの満腹感を増大させるホルモンの放出を誘発する作用がブドウ糖よりも弱い。また、脳の視床下部の活性を低下させて空腹感を抑える作用はブドウ糖にしかないことが、研究で示されているという。

今回の研究では、16~25歳の男女24人に、ブドウ糖または果糖のいずれかで甘みをつけた飲料を飲んでもらい、その後さまざまな食品(チョコレートケーキなど)の画像を見て、どの程度の空腹を感じたかを示してもらった。同時に、被験者に機能的磁気共鳴画像(fMRI)スキャナを取り付け、脳の側坐核と呼ばれる「報酬」中枢の活性をリアルタイムで追跡した。

その結果、果糖を摂取した群では空腹感が大きく、食欲の強さを示す脳領域の活性も大きいことがわかった。

しかし、加工食品に含まれる甘味料が実際に空腹感や全体の肥満リスクにどのような影響を及ぼすかについて結論を導くには、さらに研究を重ねる必要があるとPage氏は強調している。米国のトウモロコシ精製業界を代表する事業者団体Corn Refiners Association(CRA)も、今回の研究は実際の摂取状況を反映するものではないと反論している。

登録栄養士で米テキサス大学サウスウエスタン医療センター助教授のLona Sandon氏は、今回の結果は既存の研究に一致するものだと述べている。「血中のブドウ糖に対するインスリンの反応は、脳と身体にカロリーの摂取を知らせる正常な反応であることがわかっている。果糖はそのインスリン反応を誘発しない」と、Sandon氏は述べ、ブドウ糖とインスリンの相互作用はおそらく体重制御の重要な部分であると付け加えている。

今回の研究は、米フェニックスで開催された米国神経精神薬理学会(ACN)年次集会で発表された。ただし、学会発表されたデータおよび結論は通常、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは予備的なものとみなされる。


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SOURCES: Kathleen Page, M.D., assistant professor, clinical medicine, Keck School of Medicine, University of Southern California, Los Angeles; Lona Sandon, R.D., assistant professor, clinical nutrition, University of Texas Southwestern Medical Center at Dallas; Corn Refiners Association, news release, Dec. 9, 2014; American College of Neuropsychopharmacology meeting, Phoenix, Ariz., Dec. 10, 2014