2015年2月11日 17:07
  

低温になると、体内のカロリーを消費する「褐色脂肪」レベルが上がる可能性があることがわかった。米カリフォルニア大学バークレー校栄養学・毒物学教授のHei Sook Sul氏らのマウスを用いた研究で示唆され、研究論文が「Molecular Cell」1月8日号に掲載された。

褐色脂肪は白色脂肪と異なり、カロリーを貯蔵するのではなく燃焼する。一部の研究では、耐糖能や脂質代謝、体重にも良い影響をもたらすことが示されている。

今回、マウスを用いた実験で、寒冷環境下では褐色脂肪の形成に重要な役割を果たす転写因子であるZfp516という蛋白のレベルが高まることが判明した。

この蛋白レベルが高いと、白色脂肪のカロリー燃焼能力も褐色脂肪に近くなるという。また、この蛋白レベルの高いマウスに高脂肪食を与えると、正常マウスに比べて体重の増加量が30%少なかった。ただし、動物試験の結果はヒトには当てはまらないことが多いため、さらに研究を重ねる必要があると専門家は話している。

Sul 氏は、「全体に成人の褐色脂肪の割合は白色脂肪より少なく、肥満患者の褐色脂肪レベルが低いこともわかっている。褐色脂肪は熱産生に重要なだけでなく、代謝やインスリン耐性にも影響するというエビデンスがあるため、どの蛋白が褐色脂肪を制御するかを知ることが重要だ。薬でこの蛋白レベルを上げられれば、褐色脂肪を増やし、同じ食事量であっても減量できるようになる可能性がある」という。


More information

The U.S. National Institutes of Health has more about brown fat.

SOURCE: University of California, Berkeley, news release, Jan. 8, 2015