2015年2月11日 17:10
  

水銀曝露の懸念があるにもかかわらず、妊婦の魚の摂取量が多くても胎児が傷つく可能性はないことを示唆する研究報告が、「American Journal of Clinical Nutrition」1月21日号に掲載された。米ロチェスター大学(ニューヨーク)のEdwin van Wijngaarden氏らが、米国立衛生研究所(NIH)とセーシェル共和国政府の資金提供を受けて実施した研究。

van Wijngaarden氏らは、魚を主食とするセーシェルの母親と子ども1,500人超を30年間追跡した。子どもは生後20カ月目に、コミュニケーション能力、行動、運動能力の検査を受けた。母親は妊娠中の髪の検体を提供し、妊娠中の水銀曝露レベルを調べた。

その結果、水銀曝露レベルは検査の低スコアと相関しておらず、健康的かつ正常な生活を送り20代になった子どももいた。水銀は、肉に関係するオメガ6脂肪酸の値が高く魚油であるオメガ3の値が低い母親の場合のみ、子どもの発達障害と関連していた。

van Wijngaarden氏は、「セーシェルでは魚を週約12回摂取し、魚による水銀曝露は平均的な米国人の約10倍だ。しかし子どもの発達障害はなく、言語の発達とコミュニケーション能力にオメガ3の便益がみられた。この結果は、魚油が水銀による損傷を相殺する可能性を示唆している。水銀曝露は体内の酸化を引き起こし、炎症に至ることが多い。オメガ3は抗炎症性で、母親の炎症レベルを低減し、水銀が胎児に及ぼしうる影響を和らげるようだ」と話している。


More information

For more information on eating healthy while pregnant, visit the March of Dimes.

SOURCES: Edwin van Wijngaarden, Ph.D., associate professor, department of Public Health Science, University of Rochester, Rochester, N.Y.; Laura Riley, M.D., medical director, labor and delivery, Massachusetts General Hospital, Boston; Jan. 21, 2015, American Journal of Clinical Nutrition