2015年3月13日 16:07


ビタミンDは、本当はビタミンではなく、皮膚細胞にある7-デヒドロコレステロールという物質に紫外線B波(UVB)が作用することによって皮膚内で生成されるホルモンの一種です。

血中ビタミンD値が増えると、高血圧症のリスクが有意に低下するという強い相関が、ある新しい研究で見られています。

この新しいメタ分析は、ビタミンDの生成に影響を及ぼす遺伝子に注目して、ヨーロッパ人の子孫である被験者146,581人の遺伝データを調べたものです。このデータを分析することにより、血圧の変化と高血圧症の診断との関連を調べました。

こうした高度な分析を行った結果、ビタミンD値が10%高くなるごとに、拡張期血圧が0.29 mm Hg、収縮期血圧が0.37 mm Hg低くなるという関連が見られました。

もっと重要な結果として、ビタミンD値が10%高くなるごとに、高血圧症の確率が8.1%ずつ低くなることがわかりました。

(Vimaleswaran KS, et al., Association of vitamin D status with arterial blood pressure and hypertension risk: a mendelian randomisation study. Lancet Diabetes Endocrinol. 2014 Sep;2(9):719-29.)


【コンクルージョン】

ほとんどの人はビタミンDが不足しています

とくに、高齢者の場合は(年齢とともにビタミンDの生成量が減少するため)、場所を問わずこれが当てはまり、その他にも、高齢者、また、日光暴露が少ない北半球高緯度域の人々や、ほとんどの時間を屋内で過ごしている人、ビタミンDを食事でほとんど摂らない人々にも当てはまります。

血中ビタミンD値を健康的な範囲まで上げるには、ビタミンD3のサプリメントが必要となる場合が多く、かかりつけ医に血液検査を頼み、25-ヒドロキシ・ビタミンD3値を調べれば、自分の数値がわかります。

数値が40~80 ng/mL(ナノグラム/mL)の範囲にあれば十分ですが、それを下回っていたら、(合成のビタミンD2でなく)天然のビタミンD3のサプリメントを摂るのが良策です。

このサプリメントは、1,000~10,000 IUという様々な用量のものが市販されています。安全な範囲は広く、血清濃度がたとえ100 ng/mLに達しても安全です。

自分のビタミンD値が上がって健康的な範囲に達していることを確かめるため、2~3か月後に再検査を受け、必要に応じてサプリメントの用量を調節しましょう。