2015年3月13日 16:27

■注意喚起および勧告内容
2015年2月25日、米国FDA (U.S. Food and Drug Administration) が医薬品成分 (シブトラミンなど) を含む製品「Lean Body Extreme」 (右記写真) に注意喚起 (写真は米国FDAのHPより加工転載) 。米国FDAは当該製品を使用しないように、また、使用して体調に不安を感じている場合は医療機関を受診するように勧告。

■解説
当該製品は、痩身効果を謳って販売されていたが、分析したところ、医薬品成分であるシブトラミン、シブトラミン類似成分 (デスメチルシブトラミン) 、フェノールフタレイン、シルデナフィルを検出。現在のところ、当該製品との因果関係が疑われる健康被害については不明。

■関連成分
シブトラミン (sibutramine)

シブトラミンは、1997年に肥満抑制薬としてアメリカFDAの許可を受けたが、日本では未承認。副作用として血圧上昇および心拍数増加などが報告され、心臓病の方は服用を避けたほうがよいとされている。アメリカ国内ではFDAの許可後、2003年8月までに54例の死亡事例 (うち30例は心血管が原因) が報告された。2005年8月、FDAはシブトラミンの使用停止に関する消費者団体の請願書に対し、シブトラミンの使用に細心の注意を呼びかけ、その安全性を監視することにより、引き続き医薬品として承認していくことを公表した。しかし、心血管疾患歴のある患者では心血管疾患再発リスクが高くなるという欧州で実施されたSCOUT試験 (Sibutramine Cardiovascular OUTcome Trial) の結果をうけ、2010年10月、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドでメーカーによる任意回収が決定。開発したメーカーはすでに販売・流通を中止している。2010年11月、インド医薬品規制当局 (Drugs Controller General of India、DCGI) も販売を禁止した。

フェノールフタレイン (phenolphthalein)
塩基性で赤色を示す (変色域はpH8~10) pH指示薬の1つ。以前は医薬品 (下剤) として使用されたこともあるが、発がん性などのおそれがあるため、現在は医薬品として使用されていない。

シルデナフィル (sildenafil)
シルデナフィルのクエン酸塩 (クエン酸シルデナフィル) が医薬品バイアグラ錠の有効成分として承認。なお、承認されているクエン酸シルデナフィルの適応と主な副作用は、次のとおり。
【適応】勃起不全
【副作用】頭痛、ほてり、視覚障害等
【添付文書上の警告】高血圧及び狭心症の薬である硝酸剤あるいは一酸化窒素 (NO) 供与剤 (ニトログリセリン、亜硝酸アミル、硝酸イソソルビド等) との併用により降圧作用が増強し、過度に血圧を下げることがあるのでご注意下さい。

■関連情報
米国FDAウェブページ (2015年2月25日、英語)
「Public Notification: Lean Body Extreme contains hidden drug ingredients」