2015年3月13日 15:42

脂肪分の多い食事を摂ると、一般的なほとんどのタイプの乳ガンについて、女性の発症リスクが高くなることが、新しい研究によって示唆されています。

以前の研究では、入り混じった結果が出ており、1999年に公表された論文では、脂肪摂取量と乳ガンについて統計的に有意な関連は示唆されていませんが、そのデータが示していた関係は、もう少しで有意な域に達するものでした。2003年に公表された別の研究では、閉経後の女性における動物性脂肪摂取量と乳ガン発生率との関係が実際に示されていました。

その研究は、26~46歳の被験者90,655人を調べ、8年間追跡したもので、動物性脂肪の摂取量が多いほど、乳ガンのリスクに28~54%という有意な増加が見られました。(Cho E, et al., Premenopausal fat intake and risk of breast cancer. J Natl Cancer Inst. 2003 Jul 16;95(14):1079-85.)

最初に述べたつい最近の研究は、エストロゲン受容体陽性(ER+)、プロゲステロン受容体陽性(PR+)、およびヒト上皮成長因子受容体2陰性(HER2-)という各サブタイプの乳ガンを発症する予測因子として、脂肪摂取量を調べた前向き研究でした。

337,327人の女性を調査対象として11.5年間追跡したところ、この追跡期間中に10,062人の乳ガン患者が見られました。(Sieri S, et al., Dietary fat intake and development of specific breast cancer subtypes. J Natl Cancer Inst. 2014 Apr 9. [印刷物に先行した電子出版])

総脂肪摂取量と飽和脂肪摂取量が多いと、全体的にER+PR+タイプの乳ガンのリスクが20%高くなるという関連が見られました。脂肪摂取量が上から5分の1にあったグループでは、下から5分の1のグループと比較して、リスクが28%高くなっていました。

また、飽和脂肪摂取量が多いほど、HER2-タイプの乳ガンのリスクが高くなっていました。乳ガンの大部分は、ER+タイプ、PR+タイプ、HER2-タイプのものです。

女性栄養介入試験(WINS)では、ある研究グループが、初期の乳ガンがある48~79歳の女性2,437人を対象とした無作為化臨床試験を1987年に開始しました。

こうした女性に低脂肪食を実践させれば無再発生存率が高くなるという仮説の検証を試みたもので、その結果、低脂肪食の介入によって体重の減少ならびに疾患再発率の低下がもたらされたと、研究グループは判断しました。(Blackburn GL, Wang KA, Dietary fat reduction and breast cancer outcome: results from the Women's Intervention Nutrition Study (WINS). Am J Clin Nutr. 2007 Sep;86(3):s878-81.)

この試験について、介入開始から5年後に研究グループがまとめた以前のレポートによると、低脂肪食を摂っていたグループでは、対照グループよりも、最終的に平均6ポンド(約2.7kg)体重が少なくなっていました。

脂肪として摂っていたカロリーは、低脂肪食グループでは約330カロリー、対照グループでは450カロリーでした。腫瘍が受容体陰性であるグループと比べてER+およびPR+のタイプであるグループのほうが上記の効果がはるかに大きいことに、研究グループは注目していました。(Chlebowski RT, et al., Dietary fat reduction and breast cancer outcome: interim efficacy results from the Women's Intervention Nutrition Study. J Natl Cancer Inst. 2006 Dec 20;98(24):1767-76.)

【コンクルージョン】

動物性脂肪の少ない食事をすると、乳ガンの予防に役立つ可能性が高いようです。それを利用すれば簡単に実践できます。飽和脂肪ならびに総脂肪摂取量を最小限に抑えるというのは、健康的な食事方法の正当な部分です。新鮮な果物と野菜、豆類を摂り、精製穀物ではなく全粒穀物だけを摂り、それに種子類とナッツ類を加えれば、実に簡単に、栄養のあるおいしい食物をいろいろ摂ることができます。