2015年3月13日 15:55
   

超早産で生まれた人は、30代になっても不安障害やその他の精神健康上の問題を抱えるリスクが高いことが、新たな研究で示唆された。また、出生前ステロイド投与を受けた人では特にリスクが高いことも判明した。

早産の危険のある妊婦には、胎児の肺の発達を促し、合併症リスクを低減するために副腎皮質ステロイドが投与されることが多い。米マイアミ小児病院のBrandon Korman氏によると、早産児は自閉症、注意障害、社会的スキルの困難などの問題が生じるリスクが高いことが知られている。しかし、ステロイドの使用について考慮した研究はこれまでなく、結論を出すのはまだ早いと同氏は述べている。

「Pediatrics」オンライン版に2月9日掲載された今回の研究で、カナダ、マックマスター大学助教授のRyan Van Lieshout 氏らのチームは、1977~1982年に「超低体重」(1000g未満)で生まれた成人84人の問診を行い、正常体重で生まれた同年齢の成人90人と比較した。

その結果、早産群では不安障害、うつまたは注意欠陥多動性障害(ADHD)の比率が2倍以上であることが判明した。特に出生前ステロイド投与を受けた人はリスクが高く、例えば社会恐怖症リスクは6倍、ADHDリスクは10倍であった。

しかし、84人のうちADHDは10人で、社会恐怖症もほぼ同数にとどまり、相対リスクでみると高いものの、このような問題が必ず起こるわけではないとVan Lieshout氏は強調している。

また妊婦や新生児の管理は、今回の被験者が生まれた当時よりも大きく進歩している。そのため、最近生まれた早産児では、長期的な見通しは異なる可能性が十分にあると同氏は話す。

今回認められたリスクを説明する理由として、超早産児は医療処置を受ける頻度が高いため、この「早期ストレス要因」による持続的な影響や、集団として健康問題が多く、低IQのリスクが高いことによる影響が考えられるという。一方で、早産児はアルコールや薬物の乱用リスクが低かったが、ステロイド投与を受けた群にはそのような所見は認められなかった。

ステロイドが関連する理由は不明だが、胎盤を通過するため胎児の脳に影響を及ぼす可能性はあるとVan Lieshout氏は述べている。しかし、早産の危険のある母親にとってステロイド投与は極めて重要であることがわかっており、今回の知見を理由にステロイドを避けるべきではないと同氏は付け加えている。


More information

The American Academy of Pediatrics has more on preterm babies' health issues.

SOURCES: Ryan Van Lieshout, M.D., Ph.D., assistant professor, psychiatry and behavioral neurosciences, McMaster University, Hamilton, Ontario, Canada; Brandon Korman, Psy.D., chief, neuropsychology, Miami Children's Hospital, Miami, Fla.; March 2015, online, Pediatrics

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