2015年4月10日 19:33
 

菜食によって大腸(結腸直腸)がんリスクが20%低減することが、新たな研究で明らかにされた。また菜食主義者のなかでも、肉は食べないが魚は食べる人たちにおいて、特に大きくリスクが低減されることもわかった。

大腸がんは米国のがん死亡原因の2位を占めている。「大腸内視鏡検査などのスクリーニングによって多くの命が救われているが、はじめからがん発生を予防できれば一層望ましい」と、研究を率いた米ロマ・リンダ大学(カリフォルニア州)助教授のMichael Orlich氏は話している。

今回の研究の対象とした菜食主義者は、肉だけでなく甘味類、スナック食品、精製穀類、カロリー飲料の摂取量が少なく、果物、野菜、全粒穀類、豆類、ナッツ類を多く摂取していた。

これまでのエビデンスでは、赤身肉や加工肉の摂取と大腸がんリスクの高さに関連がみられ、繊維質の多い食品を摂取する人はリスクが低いことが示されている。しかし、米コロンビア大学メディカルセンター(ニューヨーク)教授のAlfred Neugut氏によると、菜食により大腸がんリスクが低減する理由はわかっていないという。野菜に防護成分が含まれているのか、肉に有害成分が含まれているのかは明らかにされていない。菜食は、運動や禁煙など、他の健康的な行動を示す指標である可能性もあると同氏は述べている。

「JAMA Internal Medicine」オンライン版に3月9日掲載された今回の研究では、アドベンティスト健康調査2(AHS-2)に登録された約7万7,700人の男女を対象とした。7年の追跡で、結腸がん380例、直腸がん110例が認められた。

被験者の約半数は、週1回以上肉を食べる非菜食主義者だった。その他の被験者は、以下の4タイプの菜食主義者だった。
・肉を食べる頻度が週1回未満の半菜食主義者(semi-vegetarian)。
・肉は食べないが魚介類を食べるペスコ・ベジタリアン(pesco-vegetarian)。
・肉を避け、卵や乳製品を食べる乳卵菜食主義者(lacto-ovo vegetarian)。
・肉・卵・乳製品をいっさい食べない完全菜食主義者(vegan)。

非菜食主義者に比べ、菜食主義者全体では大腸がんリスクが平均22%(結腸がん19%、直腸がん29%)低かった。ペスコ・ベジタリアンでは43%、完全菜食主義者では16%、乳卵菜食主義者では18%、半菜食主義者では8%、リスクの低減がみられた。

米ノースショア大学病院(ニューヨーク州)のDavid Bernstein氏は、さらに研究を重ねる必要があると述べる一方、「何事も適度にすべきではあるが、今回の研究は真剣に受け止めるべきものだ」と指摘している。


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SOURCES: Michael Orlich, M.D., Ph.D., assistant professor, preventive medicine, Loma Linda University, Loma Linda, Calif.; Alfred Neugut, M.D., Ph.D., oncologist and epidemiologist, professor, Columbia University Medical Center, and co-director, Cancer Prevention Program, New York Presbyterian Hospital, New York City; David Bernstein, gastroenterologist, North Shore University Hospital, Manhasset, N.Y.; March 9, 2015, JAMA Internal Medicine, online