2015年4月10日 18:48

パーキンソン病の患者にはビタミンDが役立つ可能性があることを示す新しい研究がありますが、その見出しを見たら、決してそうとはわからないでしょう。

これは「Vitamin D levels linked to Parkinson’s symptoms(ビタミンD値とパーキンソン病の症状との関連)」というもので、ビタミンDがパーキンソン病の症状をもたらすことを連想させます。実際にはその逆が真なのですが、見出しを読んだだけでは知る由もないでしょう。

ビタミンD受容体は、脳のいたるところで見られます。動物実験では、神経の発達、ミトコンドリア機能の安定化、抗酸化、ならびに神経栄養因子の数値増加にとってビタミンDが重要であることが示唆されています。

この新しい研究では、パーキンソン病がある被験者286人を含めて、認知機能、言語記憶、言語流暢性、視覚機能、実行機能に関するパーキンソン病重症度評価スケール、ならびにうつについて評価しました。血中ビタミンD値が高いほど、数々の神経精神医学的検査の成績、とくに言語流暢性と言語記憶の成績が良いという関連が見られました。
また、ビタミンD値が高いほど、うつのスコアが良いという相関も見られました。(Peterson AL, et al., Memory, mood, and vitamin d in persons with Parkinson's disease. J Parkinsons Dis. 2013;3(4):547-55. doi: 10.3233/JPD-130206.)

最近公表された別の研究では、低ビタミンD値が多発性硬化症患者における症状進行と予後に悪影響を及ぼすことがわかっています。

この研究では、多発性硬化症患者465人について、ビタミンDの状態を調べ、5年間追跡しました。ビタミンD値が高いほど、多発性硬化症の活性が低下し、進行速度が遅くなることが予測されました。

また、最初の12カ月以内に血中25-ヒドロキシ・ビタミンD値が20ナノグラム/mL高くなると、新たな活動性病変が生じる率が57%低下、再発率も57%低下することが予測され、またこの他の効果も調査期間全体にわたって見られました。

(Ascherio A, et al., Vitamin D as an early predictor of multiple sclerosis activity and progression. JAMA Neurol. 2014 Jan 20. doi: 10.1001/jamaneurol.2013.5993. )



【コンクルージョン】

血中ビタミンD値を高めることの効果がこれほど多くわかっていることから、まず自分の25-ヒドロキシ・ビタミンD値を調べてもらい、必要であればサプリメントを用いて十分な量を確実に摂ることが重要です。

正常値は通常、20~40 ng/mL以上とされていますが、多くの専門家は、40~50 ng/mLあれば申し分ない考えています。ビタミンDカウンシル(訳注:米国の非営利組織)は、40~50 ng/mLあると良いと示唆していますが、もっと高値ならさらに効果が得られる可能性があると述べています。

パーキンソン病患者と多発性硬化症患者にとって、これは特に重要です。このような高い値を維持するにはサプリメントが必要になることが多く、人によっては、ビタミンD値を健康に良い範囲まで高めるのに1日3,000 IUという量を摂る必要があります。100 ng/mLというほど高い値でも、優に安全範囲内です。