2015年4月10日 19:15
  

慢性腎疾患を抱える患者が日常的に肉の多い高酸性の食事を摂取していると、腎不全リスクが高まることが、新たな研究で示された。

米国立衛生研究所(NIH)によると、腎機能障害があると身体からの酸の排出が妨げられ、代謝性アシドーシスと呼ばれる高酸性の状態が引き起こされる。

専門家の間では長年、高酸性の食事(肉が多く、果物や野菜が少ない食事)がこの状態を増悪させるのではないかと考えられていた。

「この仮説は、複数の無作為化試験でアルカリの補充により慢性腎疾患患者の腎機能喪失が遅くなることが示されたことからも裏付けられる」と米マウント・サイナイ・アイカーン医科大学(ニューヨーク市)のJaime Uribarri氏は説明している。

米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)のTanushree Banerjee氏が率いた今回の研究では、米国政府による大規模な健康調査に登録された腎疾患患者1,500人弱を対象に、約14年にわたる栄養分析を実施した。その結果、高酸性の食事を摂取していた群は、腎不全リスクが低酸性の食事を摂取していた群の3倍であることがわかった。

「Journal of the American Society of Nephrology」に2月12日掲載された今回の研究は、食事が腎機能に大きな影響を及ぼすことを示した先行研究に基づいて行われたと研究著者らは述べている。

「慢性腎疾患患者は、腎不全の進行を抑えるため、高酸性の食事の摂取にもっと注意を払う必要がある」とBanerjee氏は述べ、「果物や野菜に富む健康的な食事を取り入れることで、高額な費用やQOLの低下をもたらす透析治療を避けることができる」と付け加えている。

Uribarri氏もこれに同意し、「この知見は明確であり、食事の酸性が強いほど腎疾患の進行が早まるというこれまでの知見を裏付けるものだ」と述べるとともに、今回の研究は因果関係を明らかにするものではないが、被験者数が多いため、結論に重みを加えるものだと指摘している。

米ノースショア大学病院移植センター(ニューヨーク州)のErnesto Molmenti氏もこの考えを支持し、「慢性腎疾患は米国で2,600万人以上が罹患しており、公衆衛生上の害として過小評価されている」と述べている。「今回の研究は、社会のあらゆるレベルの人に対して実施できる栄養学的介入を明らかにした」と同氏は付け加えている。


More information

There's more on chronic kidney disease at the National Kidney Foundation.

SOURCES: Jaime Uribarri, M.D, professor, medicine and nephrology, Icahn School of Medicine at Mount Sinai, New York City; Ernesto Molmenti, M.D., surgical director, North Shore University Hospital Transplant Center, Manhasset, N.Y.; Feb. 12, 2015, news release, American Society of Nephrology