2015年5月14日 16:39


L-カルニチンは、リジンとメチオニンという2種類のアミノ酸が組み合わさったもので、体内では、ミトコンドリア内膜を超えて遊離脂肪酸をミトコンドリア内に運ぶ働きをします。脂肪酸はミトコンドリア内で代謝されてエネルギーを生み出すことができます(ミトコンドリアがこのプロセスを完了するためにもQ10が必要です)。L-カルニチンは体内でも生成されますが、加齢や特定の病状によって、生成量は減少します。そのため、健康状態によってサプリメントが役立つことがあり、場合によってはサプリメントが不可欠となることさえあります。サプリメントは、心不全や、運動時の胸の痛みや苦しさ(狭心症)、心臓の不整脈、原因を問わない死亡率の低減に役立つ可能性があります。

ある新しい総説によると、L-カルニチンが心臓発作(急性心筋梗塞)の患者に役立つことがわかっています。執筆者の報告によると、L-カルニチンのサプリメントは、心筋の壊死範囲、心室性不整脈、左心室の伸張度、心疾患の発症率、および死亡率を低減する可能性があるということです。
(DiNicolantonio JJ, et al., L-carnitine for the treatment of acute myocardial infarction. Rev Cardiovasc Med. 2014;15(1):52-62.)

以前に行われたメタ分析で、13の比較試験について調べたものがあり、その合計被験者数は3,629人で、急性心筋梗塞後にL-カルニチンを投与した場合と、プラセボを与えた場合を比較して、死亡率・心室性不整脈・狭心症・心不全、ならびに再梗塞の可能性に対する影響を調べました。

その結果、プラセボ(対照)グループと比較して、原因を問わない死亡率には27%の低下が見られ、心室性不整脈については65%というきわめて有意な低下、狭心症の発症率には40%の低下が見られました。心不全と再梗塞の割合も低くなっていましたが、その低下率は統計的に有意な域には達していませんでした。 (DiNicolantonio JJ, et al., L-carnitine in the secondary prevention of cardiovascular disease: systematic review and meta-analysis. Mayo Clin Proc. 2013 Jun;88(6):544-51.)

それよりずっと最近の研究にて行われた無作為化二重盲検プラセボ比較試験では、51人の患者に1日当たり2,000 mgのL-カルニチンを投与し、50人の患者にプラセボを与えました。これらの被験者は全員、急性心筋梗塞の疑いがある患者で、この処置は28日間行われました。試験の開始時点における被験者の状態は、臨床評価と検査値評価を基準とし、皆同程度のものでした。

L-カルニチンを与えたグループのほうが、試験の終了時点で、梗塞部は小さく、狭心症も少なく(プラセボグループで36%であったのに対し17.6%)、心不全と心室性不整脈の率も低く(プラセボグループ36%に対し23.4%)、不整脈も少ない(プラセボグループ28%に対し13.7%)という結果が得られました。死亡および急性心筋梗塞の新規発生を含む心イベント(心臓関連の重大事象)全体の発生率は、プラセボグループで26%であったのに対し、L-カルニチンを与えたグループでは15.6%でした。


【コンクリルージョ】

L-カルニチンは、保険は適用されませんが、心臓疾患の治療法として安全であり、比較的安価でもあります。私は通常、1日1,500~2,000 mgのL-カルニチンを摂っています。その他にも、コエンザイムQ10などのサプリメントを併せて摂っています。すべてのサプリメントが一緒に作用するためであり、とくに、この2つ(L-カルニチンとコエンザイムQ10)にはそうした作用があります。