2015年6月14日 14:01
  

地中海食にオリーブオイルとナッツ類を追加することで、高齢になっても高い思考力と記憶力を維持できることが新たな研究で示された。地中海食は、果物、野菜、魚、全粒穀類が豊富で、赤身肉が少ないことが特徴。

「いくつになっても、食生活の改善には意味がある。抗酸化力の高い健康な食事で、加齢に伴う認知力低下の発生を遅らせることができる」と、研究を率いたスペイン、ホスピタルクリニック(バルセロナ)のEmilio Ros氏は述べている。

「JAMA Internal Medicine」オンライン版に5月11日掲載された報告によると、研究ではバルセロナに住む約450人(平均67歳)を対象に、2003年から2009年まで食生活に関する介入試験を実施。

対象を、地中海食に加えて週1リットルのエクストラバージンオリーブオイルを摂取する群、地中海食に加えて1日30gのナッツ類(クルミ、ヘーゼルナッツ、アーモンドミックス)を摂取する群、地中海食ではない低脂肪食を摂取する対照群の3群いずれかに無作為に割り付けた。対象者はいずれも心疾患リスクが高かったが、記憶力や思考力に問題はなかった。

知能面の変化は、記憶力、注意力、思考力をみる一連の検査で経時的に評価した。全対象のうち約350人で解析に利用できる完全データが得られた。被験者は中央値で約4年間、食事の指示に従っていた。

分析の結果、地中海食を摂取した2群ではいずれも、対照群に比べて記憶力および思考力における便益が認められた。

米ニューヨーク大学医療センター(ニューヨーク市)のSamantha Heller氏は、「ナッツやオリーブオイルなどの健康的な脂質は脳の機能と健康に重要な役割を担う」と説明する。ヒトの脳の神経細胞は、1つ1つが髄鞘と呼ばれるごく薄い脂肪と蛋白の層で保護されている。この髄鞘は食物由来の脂肪から作られるため、健康的な食品と脂質を摂取するほど脳も健康になると同氏はいう。

髄鞘に最も多く含まれる脂肪であるオレイン酸は、オリーブオイル、アーモンド、ピーカンナッツ、マカダミアナッツ、ピーナッツ、アボカドなどが優れた供給源となる。同様に脳の健康に重要なオメガ-3脂肪酸は魚、クルミ、大豆食品に豊富に含まれる。

Heller氏は、「これらの脂肪が精神機能と脳の健康を向上させ、アルツハイマー病リスクを低減させることが明らかにされている」と述べ、バターの代わりにオリーブオイルを、ポテトチップスの代わりにアーモンドを、ミートボールの代わりに野菜を摂取することを勧めている。


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To learn more about the Mediterranean diet, visit the American Heart Association.

SOURCES: Emilio Ros, M.D., Ph.D.,director, lipid clinic, Hospital Clnic, Barcelona, Spain; Sam Gandy, M.D., Ph.D., director, Center for Cognitive Health, Mount Sinai Hospital, New York City; Samantha Heller, M.S., R.D., senior clinical nutritionist, New York University Medical Center, New York City; May 11, 2015, JAMA Internal Medicine

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