2015年6月14日 14:04
  

安価で入手しやすいニコチンアミドというビタミンB3サプリメントが、皮膚がんリスクを低減する可能性が示された。オーストラリア、シドニー大学皮膚科教授のDiona Damian氏らによる研究。

既存の研究では、ニコチンアミドが皮膚細胞のエネルギーを高め、DNA修復を促進し、皮膚の免疫系を強化することが示されている。

Damian氏らは、過去5年間に2種類以上の非黒色腫皮膚がんを認めた平均66歳の高リスク患者400人近くを対象に臨床試験を実施した。対象者の3分の2が男性で、多くが関節炎、高血圧などの慢性疾患を有していた。対象者の半数はニコチンアミドを1日2回、1年間服用し、残り半数はプラセボを服用した。

皮膚科医が3カ月ごとにがん検診をしたところ、ニコチンアミド群では1年間の研究期間終了時の新規非黒色腫皮膚がんの発症率がプラセボ群よりも23%低かった。また、がんになりうる皮膚の厚い鱗状の斑も3カ月で11%、9カ月で20%減少した。ただし、12カ月後に服用をやめると、便益はみられなくなった。

Damian氏は、「より一般的なB3であるナイアシンは、高用量服用すると頭痛などが生じうるが、ニコチンアミドではこれらの副作用がなかった。ただし、現段階でこの成分の摂取を一般集団に推奨するものではない」と話している。

今回の研究は、米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次集会で5月30日に発表される予定。なお、学会発表された知見は一般に、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは予備的なものとみなされる。


More information

For more information on skin cancer, visit the American Cancer Society.

SOURCES: Diona Damian, M.B.B.S., Ph.D., professor, dermatology, University of Sydney, Australia; Peter Yu, M.D., director, cancer research, Palo Alto Medical Foundation, and president, American Society of Clinical Oncology (ASCO)