2015年7月 4日 20:59


【注意喚起および勧告内容】
2015年6月3日、米国FDA (U.S. Food and Drug Administration) が医薬品成分 (シブトラミンなど) を含む製品「Smart Lipo (800, 900, 950 mg) capsules」 (下記の一覧参照) に注意喚起。米国FDAは当該製品を使用しないように、また、使用して体調に不安を感じている場合は医療機関を受診するように勧告。

製品名消費期限
Smart Lipo 800 mg capsules2017年9月15日
Smart Lipo 900 mg capsules2017年7月30日
Smart Lipo 950 mg capsules2017年7月30日
2018年7月30日



【解説】
当該製品は、インターネットや小売店で販売されていたが、分析したところ、医薬品成分であるシブトラミン、シブトラミン類似成分 (デスメチルシブトラミン) 、フェノールフタレインを検出。3製品あわせて122のロットを対象に、業者による自主回収が行われている。現在のところ、当該製品との因果関係が疑 われる健康被害については不明。


関連成分】
シブトラミン (sibutramine)

シブトラミンは、1997年に肥満抑制薬としてアメリカFDAの許可を受けたが、日本では未承認。副作用として血圧上昇および心拍数増加などが報告され、心臓病の方は服用を避けたほうがよいとされている。アメリカ国内ではFDAの許可後、2003年8月までに54例の死亡事例 (うち30例は心血管が原因) が報告された。2005年8月、FDAはシブトラミンの使用停止に関する消費者団体の
請願書に対し、シブトラミンの使用に細心の注意を呼びかけ、その安全性を監視することにより、引き続き医薬品として承認していくことを公表した。しかし、心血管疾患歴のある患者では心血管疾患再発リスクが高くなるという欧州で実施されたSCOUT試験 (Sibutramine Cardiovascular OUTcome Trial) の結果をうけ、2010年10月、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドでメーカーによる任意回収が決定。開発したメーカーはすでに販売・流通を中止している。2010年11月、インド医薬品規制当局 (Drugs Controller General of India、DCGI) も販売を禁止した。

フェノールフタレイン 】(phenolphthalein)
塩基性で赤色を示す (変色域はpH8~10) pH指示薬の1つ。以前は医薬品 (下剤) として使用されたこともあるが、発がん性などのおそれがあるため、現在は医薬品として使用されていない。

【関連情報】
米国FDAウェブページ (2015年6月3日、英語)
「SmartLipo365 Issues Voluntary Nationwide Recall of Smart Lipo Due to Undeclared Sibutramine, Desmethylsibutramine, and Phenolphthalein」