2015年8月19日 15:22
 

オレンジジュースや丸ごとのグレープフルーツを日常的に摂取している人は、メラノーマ(悪性黒色腫)を発症するリスクが高まる可能性があるという。この知見は10万人超の成人を約25年追跡した研究の結果で、「Journal of Clinical Oncology」オンライン版に6月29日掲載された。

研究を実施した米ブラウン大学のAbrar Qureshi氏によると、柑橘類には皮膚につくと日光に対する感受性を増大させるソラレンやフロクマリンなどの「光活性」物質が含まれているという。

「ただし、柑橘類によって日光の影響を受けやすくなる可能性があるとしても、重要なのはオレンジジュースを避けることではない。過剰な日光曝露を予防することだ」と同氏は指摘している。付随論説を執筆した米ニューメキシコ大学(アルバカーキ)教授のMarianne Berwick氏も、これまでどおりさまざまな果物を食事に取り入れるべきだと述べている。

今回の研究では、米国で実施された2件の長期的な調査のデータを分析。対象者は数年ごとに健康状態と生活習慣に関する詳細な調査に回答した。約25年の間に1,840人がメラノーマを発症していた。

オレンジジュースを1日1回以上飲む人は、週1回以下しか飲まない人に比べて、メラノーマを発症する確率が約25%高かった。また、グレープフルーツを週3回以上食べる人は、全く食べない人に比べて、リスクが41%高いことがわかった。一方、丸ごとのオレンジやグレープフルーツジュースには、リスクとの関連は認められなかった。

Berwick氏はこの結果について、明確な理由はわかっていないと述べ、柑橘類とメラノーマとの関連を裏付けるには別の研究での再現が必要だとしている。米国臨床腫瘍学会(ASCO)のGary Schwartz氏もこれに同意し、「決定的なデータが出るまでは、引き続き日光から皮膚を保護することに注意を払うべきだ」と述べている。

Qureshi氏は、「果物のさまざまな部分には異なる種類の光活性物質が含まれているため、すべての柑橘類に同様のリスクがあるとは限らず、果汁を殺菌する際の熱などによって光活性物質が中和される可能性もある」と説明している。

なお、オレンジジュースで統計的関連が出たことについては、米国人はグレープフルーツジュースよりもオレンジジュースを多く飲んでいることから、関連を見つけやすかった可能性があるという。

結論として、現時点で果物の摂取を避けるべきではないという点にはQureshi氏も同意しており、柑橘類を食べた日は普段よりも日焼けに注意する程度にとどめるのが適切だと助言している。


More information

The American Cancer Society offers sun safety advice.

SOURCES: Abrar Qureshi, M.D., M.P.H., chair, dermatology, Warren Alpert Medical School of Brown University, Rhode Island Hospital, Providence; Marianne Berwick, Ph.D., M.P.H., professor, internal medicine and dermatology, University of New Mexico, Albuquerque; June 29, 2015, Journal of Clinical Oncology, online