2015年8月19日 15:57

リコピンは、カロテノイドという栄養素の一種(β-カロテンやルテインの親戚)であり、色素として、赤い果物や野菜のいくつか(すべてではない)に含まれています。

リコピンには、前立腺をガン(とくに侵襲性の高いガン)から守る効果や、皮膚を日焼けの損傷から守る効果、および骨密度を改善する効果があることがわかっています。また、抗酸化物質として、LDL-コレステロールの酸化防止に役立ち、また、加齢性黄斑変性症のリスクを下げます。

リコピンには腎臓ガン(腎細胞ガン)の発症リスクを下げる効果もあることが、新しい研究でわかっています。この研究は、ウィメンズ・ヘルス・イニシアティブ(WHI)に登録していた閉経後の女性96,196人について1993年から1998年の間に調べ、2013年まで追跡したものです。

研究グループは、食品摂取頻度調査票を用いて、被験者による食事性微量栄養素の摂取量を調べ、また、面接に基づく調査記録を用いて、サプリメントの使用状況を調べました。

調査期間の終了までに、腎細胞ガンがあると認められた被験者は240人でした。リコピンの摂取量が最も多かったグループでは、その摂取量が最も少なかったグループと比較して、腎細胞ガンの発症リスクが39%低くなっていました。

この研究では他の微量栄養素についても調べましたが、腎細胞ガンのリスクに統計的に有意な低下をもたらしたものは、他にはありませんでした。(Ho WJ, et al., Antioxidant micronutrients and the risk of renal cell carcinoma in the Women's Health Initiative cohort. Cancer. 2015 Feb 15;121(4):580-8.)



【コンクリュージョン】

リコピンは、トマトに豊富に含まれていますが、生のトマトより、トマトソースやトマトペーストのほうが高濃度で含まれています(ソースやペーストを作るときに水分を飛ばすため、栄養素が凝縮されるとともに、リコピンが細胞壁から放出されます)。

スイカとレッドネーブルオレンジには、生のトマトよりさらに多くのリコピンが含まれています(ただし、ブラッドオレンジは、深い赤色でもアントシアニン系の色素によるもののため、これには当てはまりません)。

リコピンは、サプリメントとして入手することもでき、リコピンを食事から多く摂っていない人は、サプリメントを摂る価値があります。リコピンには、皮膚を紫外線から守る効果があるため、日焼けの損傷による見た目の老化防止に役立つ可能性があります。サプリメントの一般的な用量は1日当たり10~15 mgです。