2015年8月19日 16:01

リポタンパク(a)は、英語では「リポプロテイン・リトル・エイ」と呼ばれ(またはLp(a)と書かれ)、循環器疾患の独立リスク因子である血清脂質の一つです。血中リポタンパク値は、ほとんど遺伝によって決まりますが、エストロゲン、ナイアシン(ビタミンB3)、一部の複雑な治療法、高額もしくは実験的な治療法の影響を受けることがあります。

生活習慣やスタチン薬による影響はありません(といっても、食事面と運動面での生活習慣の選択が循環器疾患のリスクに影響を及ぼすことは確かです)。(Bos S, et al., Latest developments in the treatment of lipoprotein (a). Curr Opin Lipidol. 2014 Oct 14. [印刷物に先行した電子出版])

1955年以降に行われた諸研究により、ナイアシンは血清コレステロール値を下げ、HDLコレステロール値を上げることから、循環器疾患のリスク改善をもたらすことがわかっています。

遡って、1986年に公表された冠動脈疾患薬プロジェクトの報告内容によると、8,341人の男性を対象として6年間続けられた試験では、薬剤よりナイアシンのほうが心臓発作率を下げる効果が高かったということです。

その試験の終了から9年後である、15年間の追跡期間の終了時点では、ナイアシンを与えたグループはプラセボグループと比較して死亡率が11%低くなっていました。(Canner PL, et al., Fifteen year mortality in Coronary Drug Project patients: long-term benefit with niacin. J Am Coll Cardiol. 1986 Dec;8(6):1245-55.)

糖尿病患者におけるナイアシン療法について最近行われた研究レビューでは、ナイアシンにより、HDLコレステロール値は27%、LDLコレステロール値は25%、トリグリセリド値は39%低下したことがわかっています。(Ding Y, et al., Effect of niacin on lipids and glucose in patients with type 2 diabetes: A meta-analysis of randomized, controlled clinical trials. Clin Nutr 2014 Sep 28. pii: S0261-5614(14)00247-7. doi: 10.1016/j.clnu.2014.09.019. [印刷物に先行した電子出版].)

最近公表された別の研究では、ナイアシン療法がLDLコレステロール値とILDとIDL(中間比重リポタンパク)の有意な低下をもたらしたこと、および心臓発作の有意な低下との関連が見られたことが示されています。(Zambon A, et al., Effects of niacin combination therapy with statin or bile acid resin on lipoproteins and cardiovascular disease. Am J Cardiol. 2014 May 1;113(9):1494-8.)


【コンクリュージョン】

ナイアシンは、ヒスタミンを突然放出させることから、約20~40分間にわたる皮膚の紅潮(フラッシング)を引き起こします。フラッシングは有害ではありませんが、不快な場合があります。

持続放出型のナイアシンのほうが通例、フラッシングは少なくなります。また、ナイアシンを常用すると、耐性ができるため、フラッシングの発生頻度が減るか、または全く生じなくなります。

「ノンフラッシュ」型のナイアシン(イノシトール・ヘキサニコチネート)は、フラッシングを生じることなく脂質低下に効果があると考えられていましたが、ヒトの場合はうまくいかないことが判明しました(とはいえ、ナイアシンがビタミンとしてもたらすその他の効果はほとんど得られます)。

精神上の健康効果を得るためなら、ナイアシンを1日2回、500㎎。
以上の量が推奨されることが多く、脂質改善の目的であれば、通例、1日2,000~3,000 mgが推奨摂取量です。

最初はもっと少ない量から初め、徐々に増やしていってもよいでしょう。それでも、常用するようになるまではフラッシングを経験するかもしれません。