2015年9月16日 12:26

食事とサプリメントでビタミンEを摂ると、慢性疾患の症状軽減や予防に多くの効果があり、心臓関連死、間欠性跛行(動脈硬化による歩行時の足の痛み)、関節リウマチ、パーキンソン病、アルツハイマー病にも効果があることがわかっています。

ある新しい研究によると、股関節部骨折のリスクを下げる可能性もあるということです。この研究は、65~79歳の男女21,774人について調べ、最長11年間追跡したもので、後に股関節部骨折を経験した被験者1,168人の調査開始時における血清ビタミンE(α-トコフェロール)値に注目し、股関節部骨折のなかった被験者から無作為に抽出した被験者1,434人の数値と比較する方法で行われました。

このノルウェーの研究では、血清ビタミンE値は22.6~38.3マイクロモル/リットル(μmol/L)という範囲にあり、骨折リスクとは反比例の関係が見られました。血清ビタミンE値が下位4分の1にあったグループでは、股関節部骨折のリスクが、上位4分の1にあったグループより51%高くなっていました。(Holvik K, et al., Low serum concentrations of alpha-tocopherol are associated with increased risk of hip fracture. A NOREPOS study. Osteoporos Int. 2014 Nov;25(11):2545-54.)

  ビタミンEは、フリーラジカルによる損傷から細胞膜と血中脂質を守る強力な抗酸化物質です。酸化ストレスは、骨粗しょう症や骨折の一因と考えられており、こうした理由でもビタミンEは役立つ可能性があるのです。



【コンクリュージョン】
サプリメントを摂らずに血清ビタミンE値を最高レベルに保つのはほとんど不可能です。ビタミンEを最も多く摂ることができる食品には、ヒマワリの種、アーモンド、ヘーゼルナッツ、ピーナツバター、ホウレンソウ、ブロッコリーなどがあります。

上記の研究で用いられたα-トコフェロールは、ビタミンEの一つの形態に過ぎず、幅広い効果を得るためには、他の形態であるβ-トコフェロール、γ-トコフェロール、δ-トコフェロールも同じくらい重要、もしくはもっと重要かもしれません。

γ-トコフェロールを多く含む混合型のトコフェロールを1日400~800 IU摂ることが勧められています。ビタミンEと死亡率増加との関連を示唆した研究が数年前にありましたが、これは分析方法が不正確で報告内容が不十分であったため、信頼することができません。

神経疾患の場合は、もっと用量を増やすことが推奨されいます。
いくつかの研究で、パーキンソン病の治療を目的として1日当たり3,200 IUのビタミンEが(3,000 mgのビタミンCと併せて)用いられ、そのサプリメント投与によって、投薬治療が必要となる時期が2.5年遅くなることがわかっています。

アルツハイマー病については、2,000 IUのビタミンEか薬剤(セレギリン)のいずれか、もしくはその両方を被験者に与えて、死亡、施設収容、機能低下または重度認知症という転帰について調べた研究があります。その結果、ビタミンEのみを与えた場合のほうが、セレギリンのみを与えた場合やセレギリンとビタミンEを併せて与えた場合よりも効果があり、転帰の発生が約2年遅くなることがわかっています。