2015年9月24日 17:20

 魚油に富む食事とラードに富む食事(例えばベーコン)ではマウスの腸内細菌叢に非常な違いが現れるようだ、というスウェーデン・ヨーテボリ大学からの研究報告。

研究チームはこの腸内細菌叢を別のマウスに移植してその健康に対する効果を検討した結果、腸内細菌は、魚油の有益な効果とラードの有害な効果の幾分かに関与している可能性があることを発見した。

特に、魚油を食べたマウスの腸内細菌の移植は、ラードの場合に比べて、食事による体重増加と炎症反応を抑える働きが大きいようだ。

これは腸内細菌の肥満と炎症への独立的な関与を証明した初めての研究であり、プロバイオティクスの高脂肪食への対抗策としての可能性を示唆するものであるという。

「私たちは、腸内細菌が、健康的および非健康的な食事に関連して起こる代謝の変化に直接的に寄与しているかどうかを明らかにしたいと考えました」と筆頭著者のロベルト・カエサルは語っている。実験はマウスで行われたが、「私たちの目標は、人における代謝的な健康を最適化するための介入方法を見つけることです。」

研究チームは、魚油あるいはラードをマウスに11週間摂食させ、各種代謝マーカーの変化を調べた。ラードを食べたマウスでは炎症を起こすビロフィラ属の細菌が増殖したが、魚油を食べたマウスでは体重増加を抑えグルコース代謝を改善するアッカーマンシア・ムシニフィラが増殖した。

次に、研究チームは、糞便移植によって、魚油を食べたマウスの腸内細菌叢が、ラードを食べたマウスの健康を改善すること、その逆も成り立つことを確認した。この結果は、腸内細菌叢が貧しい食生活に起因する健康問題を回復させられることを意味しているという。

「私たちの論文は、アッカーマンシア・フシニフィラが健康な表現型のプロモーターであるという先行研究の結果を支持するものです」と主任著者のフレドリク・マックヘッドは語っている。「けれども、この細菌がプロバイオティクスとして使われるためには、もっと多くの研究が必要とされるでしょうし、そうなったとしても最大の効果を得るためには食事との組み合わせを考えるべきでしょう。」

プロバイオティクスを食べるから高脂肪食を食べていいということにはならないということだろう。


【参照】

http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-08/cp-fob082415.php