2015年10月20日 17:41
  

プロバイオティクスには、重症患者を抗生物質耐性菌から保護する効果はないことが、新たな研究で示された。

研究の筆頭著者で米ワシントン大学医学部(セントルイス)の感染性疾患臨床研究者であるJennie Kwon氏は、「プロバイオティクスの利用は興味深いテーマだ。多剤耐性菌に対する治療法は少ないため、(細菌の)消化管におけるコロニー形成を予防または除去する革新的な方法が求められている」と説明している。コロニー形成とは、完全な感染症を発症する前の第一段階だという。

今回の研究では、集中治療室に入院する患者70人を対象に、標準治療または1日2回のプロバイオティクス投与を最長2週間実施した。プロバイオティクスとは、「善玉」菌とも呼ばれる生きた微生物で、有害な病原菌に対するヒトの抵抗力を高める効果があると考えられている。

プロバイオティクスを投与した群の10%、標準治療群の15%の腸に、抗生物質耐性菌のコロニー形成がみられた。しかし、この差は統計的に有意なものではなかったと研究グループは述べている。

この研究は「Infection Control & Hospital Epidemiology」オンライン版に8月27日掲載された。

研究グループによると、薬剤耐性菌は治療が難しく、容易に広がる感染症のリスクを上昇させるため、入院患者にとって深刻な脅威となるという。他の集団(比較的重症度の低い患者など)に対してプロバイオティクスが有用かどうかを確認するには、さらに研究を重ねる必要があるとKwon氏は述べている。


More information

The U.S. National Center for Complementary and Integrative Health has more about probiotics.

SOURCE: Washington University School of Medicine, news release, Aug. 27, 2015