2015年10月20日 17:45
   

室内で殺虫剤に曝露した小児は白血病やリンパ腫を発症するリスクがやや高いことが、新たなレビューで明らかにされた。また、除草剤曝露と白血病リスクの間にも弱い関連が認められたという。

「Pediatrics」9月14日オンライン版および印刷版10月号に掲載されたこの知見は、殺虫剤が直接がんの原因となることを明らかにするものではない。仮にそうだとしても、発症に至る曝露量がどの程度なのか、また発症の臨界期が存在するのかはわかっていないと、米ハーバード大学公衆衛生学部(ボストン)准教授のChensheng (Alex) Lu氏は述べている。しかし、それでもすぐに対策を講じるのが賢明であると同氏は指摘する。

小児がんはまれな疾患であり、米国がん協会(ACS)の推定によると、米国で今年何らかのがんと診断された15歳未満の小児は1万400人未満。血液がんである白血病およびリンパ腫は小児がんのなかでも特によくみられる。

米ニクラウス小児病院(マイアミ)の小児腫瘍医Ziad Khatib 氏によると、生活習慣や環境曝露により生じる大人のがんとは異なり、小児がんの多くは偶発的に生じるものだが、今回のレビューが示すように、いくつかの研究では殺虫剤と一部の小児がんとの関連が認められているという。

今回のLu氏らの研究では、1993~2013年に実施された16件の国際的な研究の結果を統合した。いずれの研究も、がんの小児と健康な小児を比較し、親への問診により過去の殺虫剤曝露について評価したものだ。

その結果、室内用殺虫剤に曝露した小児は白血病またはリンパ腫になるリスクが43~47%高いことが判明。一方、屋外用の殺虫剤とがんの関連は認められなかった。除草剤に曝露した小児は白血病リスクが26%高かった。

これは本来1万人に1人の白血病発症リスクが、1万人あたり1.5人に増加するということだとKhatib氏は説明し、ごくわずかなリスクだが避けられる危険因子だと付け加えている。Lu氏は、「この情報を親たちに知ってもらい、各自で最善の判断をしてもらうことが重要」との考えを示している。

殺虫剤を使う代わりに、虫の餌となる食べ物を置かない、誘引剤や捕獲器を用いるなどの「非化学的な選択肢」をとることもできる。また、小児は学校、公園、遊び場などの自宅以外の場所で殺虫剤に曝露することもあるため、そのような場所で殺虫剤の使用を制限することにも意味があると同氏は指摘している。


More information

The American Cancer Society has more on childhood cancers.

SOURCES: Chensheng (Alex) Lu, Ph.D., associate professor, environmental exposure biology, Harvard School of Public Health, Boston; Ziad Khatib, M.D., pediatric oncologist, Nicklaus Children's Hospital, Miami; Sept. 14, 2015, Pediatrics, online