2015年10月20日 17:53

 スタチン薬関連の筋肉痛に対するコエンザイムQ10の効果

コエンザイムQ10(CoQ)は、スタチン薬による副作用、とくに、最もよく見られる弊害の一つであるミオパシー、つまり筋肉痛を軽減する可能性があります。
スタチン薬は、血清CoQ値を低下させますが、CoQのサプリメントを摂ればその回復に役立つことが、多くの研究でわかっています。

ある対照研究では、スタチン薬治療による筋肉痛があったと回答した50人の患者が集められ、その半分の人には1日当たり50 mgのCoQを30日間与え、残りの半分にはプラセボを与える試験が行われました。

この試験の開始時点で、患者は、簡易疼痛調査票(BPI)に記入し、血液検査を受けました。この記入と検査は、試験の終了時にも行われました。

30日後の時点で、CoQを施したグループでは、疼痛重症度スコア(PSS)が3.9から2.9に低下し、疼痛障害スコア(PIS)も4.0から2.6に低下していました。対照グループでは、どちらのスコアにも変化は見られませんでした。

全体的に見て、CoQのサプリメントにより、75%の患者において、スタチン薬関連の筋肉症状が軽減されました。(Skarlovnik A, et al., Coenzyme Q10 supplementation decreases statin-related mild-to-moderate muscle symptoms: a randomized clinical study. Med Sci Monit 2014; 20:2183-2188.)


スタチン薬によって誘発されるミオパシー症状に対するCoQサプリメントの効果を調べたメタ分析の結果が1月に公表されました。これは5本の研究論文を調べたもので、被験者の総数は合わせて253人でした。

5本のうち2本の研究論文で、CoQには筋肉痛に対する統計的に有意な効果が見られており、また、どの研究論文でも、痛みの何らかの減少が見られました(もしこうした効果がランダムなものであるなら、痛みが増したことや、変化がそれより少なかった、または無かったことを示す研究結果があってもよいでしょう)。

全体的に見て、CoQの用量は50~300 mgの範囲にありました。執筆者の報告によると、筋肉痛が減少する「傾向」は見られましたが(実際に53%減少していました)、これは「統計的に有意な」結果ではありませんでした。痛みが減少した患者にとっては、そのことが重要であったに違いないと思います。(Banach M, et al., Effects of coenzyme Q10 on statin-induced myopathy: a meta-analysis of randomized controlled trials. Mayo Clin Proc. 2015 Jan;90(1):24-34.)


【コンクリュージョン】

スタチン薬を飲んでいる患者さんは、治療のためにCoQを試してみるのが賢明と思われます。CoQは、きわめて高用量に至るまで、何の副作用も及ぼしません

CoQの摂取は、うっ血性心不全と高血圧症に対する効果的な治療法で、アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経障害にも効果があり、少なくとも1日当たり2,400 mgまで摂っても安全であることが複数の研究で示されています。

好ましい形態として推奨されているのはユビキノールで、通常は100~200 mgずつ、1日1~2回摂ると良いでしょう。神経障害の場合は、もっと多く摂ることをお勧めします。

CoQには、何のリスクもなく、効果の証拠はあるため、これを試さない理由は見当たりません。医師たちが施している治療法の多くは、CoQよりもリスクが高いのに、それを上回る効果があることを示す証拠がありません。それなのに、医師たちはなぜCoQを勧めたがらないのか、しばしば不思議に思います。