2015年11月18日 16:16
  

硝酸を豊富に含む野菜である「ビート」のジュースが、心臓病患者の筋力を高めるのに役立つ可能性があるという。米ワシントン大学(セントルイス)医学部のLinda R. Peterson氏らによる小規模研究の結果で、論文は「Circulation: Heart Failure」8月号に掲載された。

硝酸はビートやホウレンソウなどの葉野菜に含まれている栄養素で、体内に入ると一酸化窒素となり、血管を弛緩させて代謝を改善する。

一流アスリート(成績を上げるためにビートジュースを用いるサイクリング選手)を対象とした研究結果に基づいて、Peterson 氏らは今回、心不全患者9人を対象として食事由来の硝酸の便益を調べた。

患者らが濃縮ビートジュースを飲んだ2時間後、膝関節を伸ばすときの筋力が13%増大した。便益は筋が早く力強い動作をするときに最も大きかった。ただし、筋肉疲労を測定する長い試験では成績は向上しなかった。

これらの患者には、硝酸補充の1~2週間前または後に硝酸を除去した対照のビートジュースを摂取してもらい、各対象者の筋力を測定してベースラインとした。運動の結果を比較して、ビートジュースによる便益を推定した。

筆頭著者である同大のAndrew R. Coggan氏は、「ビートジュースによる改善は、心不全患者が2~3カ月の筋トレをした場合に匹敵する。まるでポパイがホウレンソウを食べたときのようだ」と話す。同氏によると、ヒトの筋肉機能は1年間で1%失われる。筋力を向上させられれば、高齢者に大きな便益をもたらす可能性があるという。


More information

The American Heart Association has more on heart-healthy nutrition.

SOURCE: Washington University in St. Louis, news release, Sept. 16, 2015