2015年11月18日 16:18
   

高齢者がカルシウムを余分に摂取しても、骨を保護する効果はない可能性が示唆された。ニュージーランド、オークランド大学内科准教授のMark Bolland氏らの研究で、「BMJ」9月30日号に掲載。同氏らは、高齢者に対し1日1,000~1,200mgのカルシウム摂取を勧めているガイドラインは誤りだとしている。

1件目のレビューでは、50歳以上の患者にカルシウム摂取の増量または減量を指示して比較した食事に関する研究2件、長期のカルシウム・牛乳・乳製品・サプリメントの定期摂取が骨折リスクに及ぼす影響を調べた研究44件、カルシウムサプリメントの影響を検討した26件の研究を分析した。その結果、カルシウム摂取が骨折リスクと関連するエビデンスを示した研究はなかった。

2件目のレビューでは、食事またはサプリメントによるカルシウムが50歳以上の患者の骨密度に及ぼす影響を検討した59件の研究に着目した。その結果、摂取方法にかかわらずカルシウム摂取量を増やすと骨密度がやや上昇した(1~2%)が、骨折リスクに対して意義のある影響はなかった。

Bolland氏らは、「臨床試験ではカルシウム補充により便秘など軽度の胃腸の副作用が生じることが多いことが示されており、腎結石、心臓発作、カルシウム高値、急性胃腸症状による入院リスクもやや上昇する。これらのリスクは、骨折に対する便益よりも重大だ」と話す。

また、過剰なカルシウムやビタミンDは股関節骨折の増加や心血管疾患リスクの上昇を招く可能性があるという。


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There's more on calcium and bone health at the National Osteoporosis Foundation.

SOURCES: Mark J. Bolland, MBChB, Ph.D., associate professor, department of medicine, University of Auckland, New Zealand; Karl Michaelsson, M.D., Ph.D., professor, department of surgical sciences, Uppsala University, Uppsala, Sweden; Duffy MacKay, N.D., senior vice president, scientific and regulatory affairs, Council for Responsible Nutrition; Sept. 30, 2015, BMJ

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