2015年11月18日 16:20
   

食事から飽和脂肪をカットする場合、代わりに未精製の穀類を取り入れるのならよいが、精白パンを食べるなら心臓のためにはならないことが新たな研究で示され、「Journal of the American College of Cardiology」10月号に掲載された。研究の付随論説を執筆した米コロラド大学のRobert Vogel氏は、「果物、野菜、全粒穀類などの質の高い炭水化物を代わりに摂れば、命を救うことができる」と述べている。

米ハーバード公衆衛生大学院のAdela Hruby氏らは、米国の長期研究である看護師健康調査(NHS)および医療従事者追跡調査(HPFS)に参加した女性約8万5,000人、男性約4万3,000人の情報を取得。いずれも登録時点で肥満、心疾患、がんはなく、最長30年の追跡期間中に7,600人強の参加者が冠動脈性心疾患と診断された。著者らは、心疾患を発症した群としなかった群の自己申告による食事内容を比較した。

その結果、飽和脂肪のカロリーの5%をナッツ類などの健康によい多価不飽和脂肪に置き換えた場合は心疾患リスクが25%低減し、オリーブ油などの一価不飽和脂肪に置き換えた場合は15%、未精製の炭水化物に置き換えた場合は9%のリスク低減がみられた。しかし、飽和脂肪の代わりに精白パンや白米などの精製炭水化物を取り入れた群では、効果は認められなかった。

つまりバターや肉などの飽和脂肪は、精製炭水化物や糖質と比較した場合、心臓への影響に差はないように思われ、一方で他の選択肢と比較すれば不健康だといえる。

米国肥満学会(Obesity Society)のMichelle Cardel氏は、魚、アボカド、ナッツ類、種子類などの健康的な脂質の豊富な食品を、食事にプラスするのではなく、飽和脂肪に置き換えて摂取するのがよいと助言している。肉を食べるなら脂肪のない赤身肉を選ぶべきだが、鶏肉ならなおよく、魚はさらによい。炭水化物については、栄養表示を見て「全粒穀物」が第一の原料となっていること、一人前あたりの食物繊維含有量が3g以上であることを確認するのが重要だという。

Hruby氏は、飽和脂肪を健康的な脂質や炭水化物に置き換えても味を犠牲にすることにはならないと述べ、地中海ダイエットなどは多価不飽和脂肪や一価不飽和脂肪をおいしく取り入れていると指摘する。Cardel氏もこれに同意する一方、健康によい炭水化物の味には飽きてしまうこともあると認め、果物、オートミール、豆類、全粒粉のパンなどの馴染みのあるものから始めることを勧めている。健康的のために味覚を変える必要はなく、「意識を変えればよい」と、Vogel氏は述べている。


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Visit the Mayo Clinic for more on dietary fats.

SOURCES: Robert Vogel, M.D., cardiologist, division of cardiology, University of Colorado, Denver; Adela Hruba, Ph.D., M.P.H., research fellow, department of nutrition, Harvard T.H. Chan School of Public Health, Boston; Michelle Cardel, Ph.D., R.D., spokesperson, Obesity Society, and assistant professor, department of health outcomes and policy, University of Florida, Gainesville; Sept. 28, 3015, Journal of American College of Cardiology, online

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