2015年11月18日 16:25
   

腎結石の既往のある患者がカルシウムサプリメントを利用すると、再発リスクが高まる可能性があることが、新たな研究で判明した。腎結石はカルシウム、尿酸、シュウ酸などの結晶を生じる物質の尿中濃度が高くなると発生する。

今回の研究は、米クリーブランド・クリニック、ラーナー医学部のChristopher Loftus氏が率いたもので、米サンディエゴで開催される米国腎臓学会(ASN)年次集会で発表される予定。なお、学会発表されたデータおよび結論は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは予備的なものとみなされる。

米ワシントン大学(シアトル)助教授のMathew Sorensen氏によると、かつては、結石になったことがある人(stone former)に対してはカルシウム摂取を控えるよう助言されていた。しかし1990年代以降の研究で、推奨量のカルシウムを食事から摂取すると、逆に腎結石の再発リスクを低減できることが明らかにされた。一方、カルシウムサプリメントはリスクを上昇させることが複数の研究で示されている。

今回の研究では、腎結石の既往があり、2年以内に2回のCTスキャンを受けた2,000人以上の記録を調べた。約1,500人がカルシウムサプリメント、417人がビタミンDのみを使用しており、その他の対象者はサプリメントを使用していなかった。

カルシウムサプリメントを使用していた群は、他の2群よりも新たな結石ができる速度が速かった。「食事から摂取するカルシウムとサプリメントの違いは、食事では他の栄養素も同時に摂取していることだ」とLoftus氏は説明する。

ただし、医師の指示によりカルシウムを摂取している人は、勝手に摂取を止めるべきではないとSorensen氏は話す。「食事からカルシウムを摂取するのがベストだが、骨を保護するために処方されたサプリメントを使用する場合は、食事と一緒に摂ることを勧める」と同氏は助言する。結石患者が自分の判断でサプリメントの使用を開始する場合は、本当に必要かどうかを医師に相談するほうがよいとLoftus氏は付け加えている。

結石の既往のある人は、毎日十分な水分をとることで尿が希釈され、石を形成する物質を流し出すことができる。米国立衛生研究所(NIH)によると、結石患者は1日2~3リットルの水分摂取を目標にする必要がある。また、尿中へのカルシウム排泄を増大させるナトリウムの摂取を控えたり、尿が酸性になりやすい肉や動物性蛋白を制限したりすることも有用だという。


More information

The U.S. National Institutes of Health has more on preventing kidney stones.

SOURCES: Christopher Loftus, M.D. candidate, Cleveland Clinic Lerner College of Medicine, Ohio; Mathew Sorensen, M.D., assistant professor, urology, University of Washington, Seattle; news release, Oct. 13, 2015, American Society of Nephrology meeting, San Diego

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