2015年11月18日 16:33

 膵臓ガンのリスクを下げるβ-カロテン

「欧州におけるガンと栄養素に関する前向き研究」(EPIC)から得られたデータにより、特定の栄養素が膵臓ガンのリスクを下げる可能性があることがわかっています。ある研究グループが、膵臓ガン患者446人について調べ、マッチングにより446人の対照群を設定しました。

そして、血漿中のカロテノイド(α-カロテン、β-カロテン、リコピン、β-クリプトキサンチン、カンタキサンチン、ゼアキサンチンおよびルテイン)、α-トコフェロール、γ-トコフェロール、レチノールおよびビタミンCの値を測定し、多変量解析を用いて調整した後、膵臓ガンのリスク評価を行いました。

こうした変量には、血液採取時の年齢、性別、絶食状態、ホルモン剤の使用、ならびに喫煙歴、腹囲、糖尿病の状態が含まれました。

その結果、β-カロテン値が最も高かったグループでは、最も低かったグループと比較して、膵臓ガンのリスクが48%低くなっていました。

ゼアキサンチンについても、同様の比較にて47%のリスク低下が見られました。また、α-トコフェロールの値が高かったグループでは、膵臓ガンのリスクが38%低くなっていましたが、これは、完全には統計的に有意な域に達していると言えません。

(Jeurnink SM, et al., Plasma carotenoids, vitamin C, retinol and tocopherols levels and pancreatic cancer risk within the European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition: a nested case-control study: plasma micronutrients and pancreatic cancer risk. Int J Cancer. 2015 Mar 15;136(6):E665-76.)

以前に行われた研究で、膵臓ガンのリスクと栄養素の摂取量との関連を調べたものがあります。その結果によると、食事日記の内容にもとづいて、ビタミンC、ビタミンEおよびセレンの摂取量が上位4分の3にあると判断されたグループでは、下位4分の1とされたグループと比較して、膵臓ガンの発症リスクが67%低くなっていました。

ビタミンCについては、血清ビタミンC値が高いグループでは33%リスクが低いという関連が見られましたが、これは、被験者の食事日記と相関していませんでした。

(Banim PJ, et al., Dietary antioxidants and the aetiology of pancreatic cancer: a cohort study using data from food diaries and biomarkers. Gut. 2013 Oct;62(10):1489-96.)

食事日記にサプリメントが含まれていたか不明であるため、血清ビタミンC値のほうが、より正確にビタミンC摂取量を反映していることになります。

【コンクリュージョン】

重要な微量栄養素を豊富に含む食事が疾患のリスク低下と関係していることが、ここでも示されています。

ビタミンCとビタミンE、ならびにカロテノイド、セレン、トコフェロールの血中値をさらに高めるサプリメントを摂れば、ガンを含め、慢性疾患の予防にさらに大きな効果が得られる可能性は十分にあります。