2016年1月17日 20:05
  

たった1缶のエナジードリンクが、健康な若年成人のストレスホルモン値や血圧値の急上昇を引き起こすことが新たな研究で明らかにされた。研究を率いた米メイヨー・クリニック(ロチェスター)のAnna Svatikova氏は、「健康な若者でもこのような反応がみられるということは、すでに高血圧や不整脈を抱える人にはもっと顕著な影響があると考えられる」と述べている。

この知見は米オーランドで開催された米国心臓協会(AHA)年次集会で発表され、「Journal of the American Medical Association(JAMA)」にも11月17日掲載された。米国薬物乱用・精神衛生管理庁(SAmHSA)によると、エナジードリンク1缶にはコーヒー5杯分ものカフェインが含まれているという。

今回の研究では、エナジードリンクによる血圧値の上昇がホルモン値の変化に起因するものかを確認するため、26~31歳の健康な成人25人に、16オンス(約470mL)缶のエナジードリンク「Rockstar Punched」と、刺激物質を含まない模造ドリンクを、ランダムな順序でそれぞれ別の日に飲んでもらい、飲む前後30分の血圧値とノルアドレナリン値を測定した。

ノルアドレナリンは「闘争・逃走」ホルモンとも呼ばれ、血圧や心臓の収縮力を上昇させ、脳の覚醒を促す作用がある。測定の結果、エナジードリンクを飲んだ後のノルアドレナリン値の上昇率(74%)は、模造ドリンク(30%)の2倍以上であることがわかった。また、エナジードリンクを飲んだ後は血圧値が平均6.4%上昇したのに対し、模造ドリンクでは1%だった。

米ノースウェスタン大学フェインバーグ医学部教授でAHA広報担当のLinda Van Horn氏は、今回の研究は小規模であるため、明確な懸念や警告を出す段階ではないとしながらも、「医師は心疾患患者にエナジードリンクの飲用を控えるよう指示することも検討すべきだ」と述べている。Svatikova 氏は、「救急現場では、患者にエナジードリンクを摂取したかを尋ね、バイタルサインを見る際に考慮に入れる必要がある」と指摘。消費者も注意して飲用すべきだと助言している。

米国の飲料業界団体はこの知見に対し、カフェインの作用はエナジードリンクに限るものではないと反論。エナジードリンクの安全性については科学的研究や世界の規制機関による裏付けがあるとし、製品パッケージにはカフェインの総含有量や健康に関する警告も記載していると付け加えている。


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For more information on health concerns regarding energy drinks, visit the U.S. Substance Abuse and Mental Health Services Administration.

SOURCES: Anna Svatikova, M.D., cardiologist, Mayo Clinic, Rochester, Minn.; Linda Van Horn, Ph.D., R.D., professor, preventive medicine and nutrition, Northwestern University Feinberg School of Medicine, spokeswoman, American Heart Association; Nov. 8, 2015, presentation, American Heart Association annual meeting, Orlando, Fla.; Nov. 8, 2015, Journal of the American Medical Association, online; Nov. 5, 2015, statement, American Beverage Association