2016年1月17日 20:19

  

米国食品医薬品局(FDA)はこのほど、マサチューセッツ州の企業に対し、遺伝子組換えサケAquAdvantage Salmonの生産を承認した。

このサケには安全面や栄養面で遺伝子組換えでないタイセイヨウサケ(Atlantic salmon)との差はないため、遺伝子組換えであることを表示する義務はないという。このサケは遺伝子操作により、通常の養殖サケよりも早く成長し、消費者に早く届けることができる。「FDAは同社が提出したデータを徹底的に分析し、承認の要件を満たしていると判断した」と、FDA獣医学センターのBernadette Dunham氏は述べている。

FDA食品安全応用栄養センターのSusan Mayne氏によると、FDAが遺伝子組換え食品を原料とする食品の表示を要求できるのは、重要な相違がある場合に限られるという。5年にわたる調査の結果、遺伝子組換えサケと従来のサケとの間に栄養学的な差異は認められず、安全性の問題も確認されていない。

「消費者が遺伝子組換えサケを確実に避けるには、養殖でない天然物のサケを買う以外にない」と同氏は説明する。

FDAによると、同社はカナダおよびパナマの養魚場でのみこのサケを養殖することが認められており、遺伝子組換えサケが野生に放されることがないよう対策が取られることになっている。例えば、水槽や配管に物理的なバリアを設けるほか、遺伝子組換えサケはすべて繁殖不能なメスであり、万一外に逃げても他のサケとの繁殖はできないという。FDAおよびカナダ、パナマの両政府が今後、施設を視察する予定となっている。

一部の消費者団体および環境団体はこの遺伝子組換えサケに対し、安全性に関する検査が不十分だとして異議を唱えている。「今回の決定は、大多数の消費者、科学者、議員、世界のサケ養殖業者の強い反対を無視したものだ」と、消費者団体Food & Water Watch のWenonah Hauter氏は述べている。

一方、FDAは先ごろ2つの指針文書を発表。1つは、食品が遺伝子組換えサケを原料とするものであるか、もう1つは遺伝子組換え植物を原料とするものであるかの自主的な表示に関する最終的な指針である。この文書では、遺伝子組換え原料に関する情報を自主的に表示したいメーカーに対する推奨事項を提示している。


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To learn more about genetically modified food, visit the University of Utah.

SOURCES:Nov. 19, 2015, media briefing with Bernadette Dunham, D.V.M., Ph.D., director, Center for Veterinary Medicine, U.S. Food and Drug Administration, and Susan Mayne, Ph.D., director, Center for Food Safety and Applied Nutrition, U.S. Food and Drug Administration; Nov. 19, 2015, news release, Food & Water Watch, Washington, D.C.