2016年1月17日 20:57

L-カルニチンは心臓発作後のCRP値を下げる

炎症は、冠動脈疾患の発症に対する危険因子の一つです。炎症マーカーには、血清中のC反応性タンパク(CRP)値、インターロイキン-6(IL-6)値、腫瘍壊死因子-α(TNF-α)値などがあります。

こうしたマーカー値が高いと、冠動脈疾患の発症率が高くなるという関連が見られています。L-カルニチンは、アミノ酸誘導体の1つであり、サプリメントとして摂取すると冠動脈疾患に効果があることがわかっています。

L-カルニチンは体内で生理的に生成されますが、その生成量は加齢に伴い減少します。ある新しい研究では、L-カルニチンのサプリメントがいかに役立ち得るか示されています。

この研究は、心臓カテーテル検査により、少なくとも1つの主冠動脈に50%の閉塞が見られた冠動脈疾患患者47人を特定し、プラセボを与えるグループ、もしくは1日当たり1,000 mgのL-カルニチンを含むサプリメントを与えるグループのいずれかに無作為に割り当て、12週間追跡したものです。

試験を開始したグループのうち、全12週間を終えた被験者は39人でした。(Lee BJ, et al., Anti-inflammatory effects of L-carnitine supplementation (1000 mg/d) in coronary artery disease patients. Nutrition. 2015 Mar;31(3):475-9.)

プラセボグループと比較して、L-カルニチンのサプリメントを与えたグループでは、血清中のCRP値、IL-6値およびTNF-α値に有意な低下が見られました。これは、L-カルニチンが心疾患の予防に重要な役割を果たすことを示唆しています。

上記は、L-カルニチンの補給量としては比較的少ないものでした。私が2月号(英語版1月号)でご紹介した別の研究によると、心臓発作の患者に対し、2,000 mgのL-カルニチンを含むサプリメントを毎日与えた結果、狭心症、心筋の壊死、心疾患、心室拡大ならびに不整脈の発生率が低くなっていました。

【コンクリュージョン】

L-カルニチンのサプリメントはきわめて安全で、心疾患リスクの低下に役立ちます。
1日当たり2,000 mg摂るとよいでしょう。

自分に必要な分を体内で生成することができる若者なら、サプリメントで摂るほど重要ではないかもしれませんが、たとえ若者の場合でも、十分に生成されないことがあります。

L-カルニチンは、コエンザイムQ10と一緒に摂ると、うまく機能します。どちらもミトコンドリア内でのエネルギー産生に重要なためです。

L-カルニチンは、ミトコンドリア膜を越えて遊離脂肪酸をミトコンドリア内に運びます。ミトコンドリアの中では、コエンザイムQ10を補因子として、この脂肪酸が代謝されてエネルギーが生産されます。

遺伝的な障害によってL-カルニチンの生成量が少なくなる場合もあるし、抗けいれん薬や腎臓透析によってカルニチン値が低下することもあります。1日に20,000 mgもの量を投与しても副作用は見られていませんが、場合によっては、高用量摂取により消化器の不調が生じる可能性があります。