2016年1月17日 20:35
  

石炭燃焼による大気汚染粒子(PM2.5)は、他の汚染源から生じるものよりもはるかに健康に悪いことがわかった。この結果は米ニューヨーク大学ランゴン医療センター(ニューヨーク市)教授のGeorge Thurston氏らの研究で示され、論文は「Environmental Health Perspectives」オンライン版に12月2日掲載された。

1982~2004年に米国100都市で集めた約45万人分のデータを分析した結果、石炭、原油、天然ガスなどの化石燃料の燃焼によって生じる小粒子に曝露されると、心疾患リスクが上昇することが判明した。今回検討した小粒子は、2.5μm以下の微小粒子状物質で、PM2.5と呼ばれている。

同重量で比較すると、石炭燃焼で生じるPM2.5による心疾患死亡リスクは、他のPM2.5に比較して約5倍であった。また、土の飛散、木の燃焼、その他のバイオマス燃焼によるPM2.5粒子は、心血管疾患による死亡リスクという点では重要でないこともわかった。

「これまで、この種の研究では基本的にすべてのPM2.5粒子が、発生源にかかわらず同じ毒性をもつと想定されていた」とThurston氏は述べている。

世界保健機関(WHO)によれば、世界では毎年、約300万人が大気汚染で死亡している。Thurston氏らは、石炭の燃焼がこの公衆衛生の危機における重大な要因だと述べている。


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The World Health Organization has more on air pollution.

SOURCE: NYU Langone Medical Center, news release, Dec. 2, 2015