2016年1月17日 21:43

【健康食品との因果関係が疑われる健康被害が報告されている症例】


・高血圧のためアムロジピン、ヒドロクロロチアジド、メトプロロール、リシノプリルを服用中の63歳男性 (アメリカ) がアンチエイジング目的で自然療法プラクティショナーに勧められたサプリメント (メラトニン、テストステロン、マルチビタミン、EPA、DHA、ビタミンE、DHEA、成長ホルモン、プレドニゾロン、アスピリン、「Almour thyroid」、「Lipotain」、「Zymax」) を服用したところ (摂取量、期間不明) 、閃輝暗点、眼窩周囲の頭痛、意識消失を生じ受診。脳静脈血栓症、甲状腺機能亢進症、性腺刺激ホルモン欠乏が認められ、摂取中止と加療により改善した。
(PMID:23969472)

・慢性B型肝炎の既往歴があるが治療を受けていなかった43歳女性 (オーストラリア) が、過敏性腸症候群のため、中国医の処方で複数のハーブ (キバナオウギ、Codonopsis pilosula、シャクヤク、Atractylodes macrocephala、クズ、ブクリョウ、Dioscorea opposita、オミナエシ、Psoralea corylifolia、ソウズク、カンゾウ、Dolomiaea souliei sp.) を摂取したところ、数時間後から吐き気、嘔吐、無気力、発汗、悪寒、筋肉痛を呈し、パナデイン (パラセタモール+コデイン) 1 g/日を2日間服用したが症状が悪化し、受診。肝臓移植が必要な急性肝不全と診断され、術後、多臓器不全で死亡した
(PMID:24915453)

・25歳、45歳の男性2名 (イギリス) がアナボリック・アンドロジェニック・ステロイド (AAS) を含むサプリメント製品「Mass-Drol (Celtic Dragon)」を摂取したところ (摂取期間:3週間、9日間)、無気力、食欲不振、黄疸、腹部不快感、掻痒などを生じ、胆汁うっ滞性肝炎と診断された
(PMID:23750872)

・自己免疫性肝炎の5歳女児 (イタリア) が、両親の意向で通常の治療を拒否し、ホメオパシー治療としてAurum arsenicosumを9ヶ月間、続けてAurum metallicumを3年3ヶ月間、Natrum muriaticumを11ヶ月間、Naturum phosphoricumを4ヶ月間摂取。同時に、セイヨウネズ、ライムギ、ヌスビトハギ属、curcuma pro、イヌバラも摂取したところ、症状が悪化したため再受診。通常の治療により改善した
(PMID:25336104)

・運動習慣のある53歳女性 (アメリカ) が、普段から行っている運動の30分前にスポーツサプリメント“Jacked Power”を推奨量 (13 g) 摂取したところ、運動開始45分後から左手のしびれ、動きにくさを感じ、出血性脳卒中と診断され、加療により回復した。製品から表示されていないβ-メチルフェネチルアミン (アンフェタミン異性体) が検出されたため、当該製品の摂取と運動により誘発されたものと考えられた
(PMID:26075771)

・24歳男性 (アメリカ) が減量目的でトリヨードサイロニンサプリメントを約1ヶ月間摂取したところ、筋痙攣、四肢不全麻痺を起こし、トリヨードサイロニン中毒と診断され、摂取中止と加療により改善した
(PMID:23567793)

・41歳男性 (アメリカ) が、体重減少を謳ったサプリメント「Hydroxycut SX-7 Clean Sensory」を2カプセル×4日/週、8週間摂取したところ、悪心、疲労、吐き気、嘔吐、黄疸、しゃっくりを呈し、受診。急性肝細胞性肝障害と診断され、摂取中止と加療により改善したという報告がある
(PMID:25948859)

・サプリメント製品「Dexaprine」、「Dexaprine XR」では、2012年5月~2013年10月に26例の健康被害が報告され、このうち11例が1錠以下の摂取で心停止、心臓の動悸、胸の痛み、吐き気、頭痛などを呈したことから、2013年8月にオランダ食品・消費者製品安全局 (VWA) により注意喚起
(厚生労働省からも注意喚起済み) が出されている。該当製品の成分を分析したところ、シネフリン、oxilofrine、deterenol、ヨヒンビン、カフェイン、テオフィリン、β-メチルβ-フェニルエチルアミンが検出されたという報告がある (PMID:24802503)

・22歳男性 (オーストラリア) が、「oxyelite」
(厚生労働省からも注意喚起済み製品) を摂取したところ (摂取量、期間不明) 、動悸や体調不良を生じ受診。心房細動と診断され、摂取中止と加療により改善したという報告がある (PMID:25326558)

・健康な中年女性 (アメリカ) が、2~3ヶ月前から脱毛症治療のために中国製ハーブ「Ban Tu Wan」を時々摂取していたところ (摂取量不明) 、1週間前から体調不良、下痢、筋肉痛、関節痛を生じ、3日前にかかりつけ医を受診。急性全身エリテマトーデスと暫定診断され、デキサメタゾンとプレドニゾンを処方されたが、症状は改善せず、せん妄、混乱などを生じ、救急搬送された。搬送時には腹痛、精神状態の不安定 (無気力、混乱、興奮) を伴い、急性肝不全および腎不全を生じ、死亡したという報告がある
(PMID:22878995)

・悪性神経膠腫の切除後、テモゾロミドと放射線の化学療法を受けていた56歳女性 (オーストリア) が、中国伝統医薬品「Bu Zhong Yi Qi Wan」を2回/日、2週間併用したところ、黄疸を伴う肝障害を呈し、摂取中止、薬の変更、加療により改善したという報告がある
(PMID:24679099)

・心房細動患者の66歳女性 (アメリカ) が、医療の受診を中止し、代替療法として複数のビタミン、大量のニンジンジュース、N-アセチルシステイン、海藻などを含む50種類以上のサプリメントを毎日摂取していたところ、胸の痛みと呼吸困難を生じ救急搬送され、投薬により改善した。入院時に顔と腕の皮膚が灰色であったため検査したところ、銀沈着症と診断された。1~2年前に、全てのがんに良いといわれコロイド銀水を毎日1 qt (約0.95 L) 飲用していたところ、1年前に激しい腹痛を起こしたため、摂取を中止したが、この時に摂取していたコロイド銀水が今回の症状の原因と考えられたという報告がある
(PMID:23772435)

・アマチュアマラソンランナーの36歳男性 (イギリス) が、ハーフマラソンのスタート前にパフォーマンス向上目的でスポーツサプリメント (1錠にエフェドリン30 mg、アスピリン30 mg、カフェイン120 mg、ナリンギン80 mg含有) を2錠摂取したところ、レース中に昏睡で倒れ救急搬送された。一命は取り留めたが、横紋筋融解症と急性腎不全を起こし、継続的な透析が必要となったという報告がある
(PMID:22669965)

・激しい運動を好む35歳男性 (アメリカ) が、プロテインシェイクを3~4回/日、6ヶ月以上摂取したところ、腹痛、膨満感、吐き気、嘔吐、満腹感、3~4ヶ月で4.5 kgの体重増加を呈し受診、胃底部に大きな胃石が見つかり、長期に渡るタンパク質過剰摂取が原因と考えられたという報告がある
(PMID:26203434)

・腰椎圧迫骨折、数度の流産、高脂血症、うつ病の既往歴があり、シンバスタチン (抗高脂血症薬) 、シタロプラム (抗うつ薬) 、リシノプリル (降圧薬) を服用していた65歳女性 (アメリカ) が、体重減少を謳ったサプリメント「Hydroxycut」を2週間摂取したところ、突然の激しい頭痛、聴覚過敏、羞明、吐き気を生じ入院、2日後に足の虚弱、左側の視覚障害を呈し、可逆性血管収縮性症候群と診断されたという報告がある
(PMID:22074635)

・42歳男性 (アメリカ) が、数種類の性機能改善用ハーブサプリメントを摂取したところ (詳細不明) 、激しい右側頭痛、右目視力喪失、眼球運動を呈し受診、治療中も摂取を継続していたため改善がみられず、7週間後に当該製品の摂取を中止したところ、改善したという報告がある
(PMID:25378904)

・メトプロロール (降圧薬) を服用中の52歳女性 (アメリカ) が、減量目的に断食のうえ、緑茶抽出物含有のサプリメント「SlimQuickTM」を2日間摂取したところ、2週間後頃から1週間継続する嘔吐、黄疸を生じ受診、強膜黄疸、腹部膨張、下肢浮腫を伴う肝壊死が認められ、肝臓移植を受けた。断食によりカテキンの血中濃度が高値となったことが原因と思われる肝障害と診断されたという報告がある
(PMID:26157882)

・甲状腺機能低下症、喘息、前立腺がんの腰椎転移の既往歴があり、レボチロキシン、プレドニゾン、ゾピクロン、ロイプロリド、サルブタモール、シクレソニド、モンテルカストを服用していた70歳男性 (カナダ) が、中国人医師の勧めにより冬虫夏草粉末とハーブ製品「Flower Man Sang Hung」を3日間摂取したところ、吐き気、嘔吐、脱力を呈し入院した後、心房細動併発甲状腺クリーゼを発症したという報告がある。「Flower Man Sang Hung」を分析したところ、チロキシンが検出されたため、この製品が原因と考えられた
(PMID:25644333)

・52歳のインド人女性 (イギリス) が、白斑の治療目的でアーユルヴェーダ製品のBabchi種子を摂取したところ (摂取量、期間不明) 、黄疸、嘔吐、掻痒、腹痛、倦怠感、白色便、暗色尿を呈し、肝炎と診断され、摂取中止により回復したという報告がある
(PMID:25103314)

・52歳のインド人女性 (シンガポール) が、膝の疼痛緩和目的でアーユルヴェーダ製品 (Ostolief and Arthrella tablets) を6か月間摂取したところ、労作性呼吸困難、湿咳、体重減少を生じて受診。当該製品が原因と思われる過敏性肺臓炎と診断され、製品の摂取中止と加療により回復したという報告がある
(PMID:24557005)

・インド出身の35歳男性 (イギリス) が、性機能不全の治療を目的に、インドで購入したアーユルヴェーダ製品を摂取したところ (摂取量等不明) 、腹痛、便秘、体重減少を生じ受診、血清鉛濃度は88.59μg/dLと高値であったため、摂取した製品が原因と思われる鉛中毒と診断されたという報告がある
(PMID:24364054)

・12歳男児 (イタリア) が、タラ肝油由来のビタミンDサプリメント「Merluzzovis」を健康増進と骨の強化を目的に母親の自己判断で通常量の倍 (6カプセル/日) 、1ヶ月間摂取したところ、腹痛、便秘、嘔吐を呈し受診、ビタミンD中毒 (高カルシウム血症、急性腎不全、高血圧) と診断された。同サプリメントを5カプセル/日、2週間摂取していた男児の兄 (15歳) は血漿25-OHビタミンD高値、PTH低値であったという報告がある。当該製品のラベルにはビタミンD 1.5μg/カプセル含有と表記されていたが、母親から入手した製品を分析したところ、1,060±49μg/カプセルのビタミンDが検出された
(PMID:24670344)

・アルコール依存症の55歳男性 (ベルギー) が、大量に飲酒後、催眠目的にセイヨウカノコソウ製品20粒 (抽出物500 mg/粒含有) を摂取したところ、1時間以内に顔、体、手足の発疹、呼吸困難、低酸素血症、意識消失を呈し、その後咽頭浮腫、ピンク色の排尿が続いたという報告がある。薬剤師が製品に記載せずにプロメタジン20 mg/粒を添加しており、セイヨウカノコソウとプロメタジンの過剰摂取が原因と疑われた
(PMID:25233954)

・60歳女性 (中国) が、中国伝統薬 (詳細不明) を10年間摂取したところ、腎症を引き起こし、1年前より透析を受けていたが、腹痛、吐き気、倦怠感が3週間続いたため受診、突発性腸間膜静脈硬化症と診断されたという報告がある
(PMID:23256112)

・48歳女性 (ポーランド) が、乾癬の完治を目的に、代替医療として生薬バスジェルの使用および食事療法 (炭水化物、卵、多量の肉類で構成された食事) とともに、中国伝統医薬品「Fu Fang Quing Dai Wan」を1袋x3回/日摂取したところ、約1カ月後から乾癬症状悪化、蕁麻疹、倦怠感、食欲不振、腹痛、消化不良、吐き気、黒色便、体重減少、膝関節痛を生じて受診、鉄欠乏性貧血が認められ、すべての代替療法の中止と投薬治療によって回復した
(PMID:24364460)