2016年2月18日 03:26
   

蚊が媒介するジカウイルスの症例が、中南米およびカリブ海で広がっている。ブラジルでの先天性障害の急増との関連もみられるこの疾患が米国に入ってくるのは時間の問題だと専門家らは述べている。


米国疾病管理予防センター(CDC)は先ごろ、妊婦および妊娠を希望する女性は、ジカウイルス感染が発生する地域への旅行を避けるよう警告した。現在該当する国および地域は、ブラジル、コロンビア、エルサルバドル、仏領ギアナ、グアテマラ、ハイチ、ホンジュラス、マルティニーク島、メキシコ、パナマ、パラグアイ、スリナム、ベネズエラ、プエルトリコである。

CDCはさらに、感染地域から帰国した妊婦の扱いについて、医師への暫定的指示を発出した。妊婦にはもれなく渡航歴を尋ね、旅行中または帰国後2週間以内に発熱、発疹、筋肉痛、結膜炎のみられた女性には検査を実施する必要があるとしている。

この警告は、昨年ブラジルで約3,900人の新生児に小頭症が報告されたことを受けてのものだ。ジカウイルスの胎児への影響はまだ完全にはわかっておらず、研究が進められている段階だという。

母子の健康向上に取り組む非営利団体March of DimesのEdward McCabe氏によると、現在のところジカウイルスを予防するワクチンはなく、開発には数年を要するという。

ジカウイルスは、感染者の血を吸ったネッタイシマカという蚊が別の人の血を吸うことにより伝播する。米国内でも、流行地に渡航した人の感染例が報告されたほか、オアフ島の病院で生まれた小頭症の乳児が、ジカウイルス感染歴を調べる検査で陽性であったと発表された。この新生児は、昨年5月にブラジルに滞在していた母親から感染したと考えられている。

米チューレーン大学公衆衛生・熱帯医学部(ニューオーリンズ)准教授のDawn Wesson氏によると、2年前のチクングニアウイルス流行の経験からいえば、この夏に米国の一部地域でウイルスの局地的拡大が生じることも十分に考えられるという。ネッタイシマカは温暖な気候を好むため、メキシコ湾岸、南フロリダ、南カリフォルニア、ハワイなどの地域ではリスクが高いと思われる。

蚊を避けるためには、蚊の繁殖する溜まり水を除去するほか、虫よけの使用や長そで長ズボンの着用など、さまざまな対策がある。「警戒と認識は必要だが、騒ぎすぎてはいけない」と専門家は指摘している
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More information

The U.S. Centers for Disease Control and Prevention has more about the Zika virus.

SOURCES: Mustapha Debboun, Ph.D., director, mosquito control division, Harris County (Texas) Public Health and Environmental Services, Houston; Dawn Wesson, Ph.D., associate professor, tropical medicine, Tulane University School of Public Health and Tropical Medicine, New Orleans; Edward McCabe, M.D., Ph.D., senior vice president and chief medical officer, March of Dimes, White Plains, N.Y.; Jan. 15, 2016, transcript of news conference, U.S. Centers for Disease Control and Prevention; Jan. 19, 2016, Morbidity and Mortality Weekly Report, U.S. Centers for Disease Control and Prevention

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