2016年2月18日 03:28
   

年1回の便潜血検査による大腸がんの検出率には一貫性が認められ、2~4年目のスクリーニングも有効であることが、新たな研究で報告された。

研究共著者の1人である米カイザー・パーマネンテ(カリフォルニア州)のDouglas Corley氏によると、医師らの間では、便潜血検査の有効性が年々低下する可能性が懸念されていたという。大腸の腫瘍やポリープは、大きくならなければ便に血液が混じることはないため、初回の検査で大きな腫瘍がすべて発見され、切除された場合、翌年以降のがんの検出率が大幅に低下するのではないかと考えられていた。

今回の研究では、カイザー・パーマネンテ健康保険の加入者約32万5,000人に対して実施された年1回の便潜血検査を4年間追跡。1年目には、便潜血検査により、後に大腸がんと診断された患者の84.5%にがんが検出された。初年の検出感度が高いのは予想どおりであったが、2~4年目にも73~78%の有効性が認められ、新たに大きくなったがんを持続的に検出できることが示されたと、研究グループは述べている。この知見は「Annals of Internal Medicine」に1月25日掲載された。

米国がん協会(ACS)のRichard Wender氏は、「便潜血検査を10年間受ければ、死亡を防ぐ効果は10年に1回の大腸内視鏡検査と同程度と考えられる」と述べている。大腸内視鏡検査は、10年に1回の受診でほぼ100%のがんやポリープを発見できるという利点があるが、選択肢が1つしかない場合、内視鏡検査に抵抗のある患者はスクリーニングを受けない可能性がある。

内視鏡検査は侵襲的な処置であり、鎮静剤の使用や強力な下剤の服用による準備が必要だが、便潜血検査は不快感もなく、自宅で検体を採取できる。大腸がんスクリーニングでは便潜血検査と内視鏡検査の両方を提案し、各自が自分に適した検査を選べるようにすれば、受診者が増えるはずだとCorley氏らは指摘している。ただし、便潜血検査で陽性となった患者には必ず内視鏡検査を実施しなければ意味がないとWender氏は述べている。

今回の研究は、標準的な便潜血検査に焦点を当てたものであり、米国食品医薬品局(FDA)が新たに承認した「Cologuard」と呼ばれる検査については検討していない。Cologuardは潜血検査とDNAバイオマーカーの検査を組み合わせたもので、標準の検査よりも高い検出率が認められているが、効果的な受診頻度については未だ明らかにされていない
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SOURCES: Douglas Corley, M.D., Ph.D., M.P.H., research scientist, Kaiser Permanente; Richard Wender, M.D., chief cancer control officer, American Cancer Society; Jan. 25, 2016, Annals of Internal Medicine

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