2016年2月18日 03:31
  

不妊治療を受ける女性は、大豆をたくさん食べることによって、食品容器などに広く使用される化学物質であるビスフェノールA(BPA)の影響を防げる可能性が、新たな研究で示された。

ポリカーボネート製の水筒や食品缶の内面コーティングに含まれるBPAは、女性ホルモンの一種であるエストロゲンに似た作用をもち、不妊症との関連が指摘されている。米国疾病管理予防センター(CDC)によると、米国人の96%以上では体内にBPAの存在が認められるという。

今回の研究では、2007~2012年に少なくとも1回の体外受精(IVF)を受けた18~45歳の女性239人を対象とした。対象者には食習慣に関する質問票に回答してもらい、尿を分析してBPA値を測定した。176人が大豆食品を摂取していた。

大豆食品を摂取していなかった女性では、豊富に摂取していた女性に比較して、BPA値が高くなるほど胚着床率、超音波で胎児が確認できるまで妊娠が継続する比率、生児出生率が低くなる傾向があった。しかし、定期的に大豆食品を摂取していた女性では、BPA値によるIVFの結果への影響は認められなかったという。

今回の研究は、「Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism」に1月27日掲載された。研究の第一著者である米ハーバード公衆衛生大学院、ブリガム・アンド・ウイメンズ病院、ハーバード大学医学大学院(いずれもボストン)のJorge Chavarro氏は、「われわれの研究は、ヒトにおける大豆とBPAの相互作用の可能性を初めて示すものだ。マウスの研究でも、大豆の豊富な食餌によりBPA曝露に関連する生殖の問題を予防できる可能性が示されている」と述べている。

「妊娠を希望する女性はBPA曝露を減らすことが推奨されるが、完全に回避することは難しい。今回の知見から、BPA曝露のリスクを食事によりある程度低減できることが示唆された」と、上席著者である米ハーバード公衆衛生大学院、マサチューセッツ総合病院、ハーバード大学医学大学院のRuss Hauser氏は述べ、「研究を進めれば、BPA曝露だけでなく、その他の化学物質への曝露の影響を低減できる食事や生活習慣を明らかにできる可能性がある」と付け加えている

More information

The U.S. National Institute of Environmental Health Sciences has more about BPA.

SOURCE: Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism, news release, Jan. 27, 2016